失恋相手と今日からニセモノ夫婦はじめます~愛なき結婚をした警視正に実は溺愛されていました~
冗談としか思えないプロポーズ
送られた住所と目の前の建物を交互に見遣り、なかなか決意が固まらずにいる。
今朝、まずは光希に電話して昨晩の件を謝罪した。光輝さんから先に、無事に私を送り届けた連絡があったらしい。
『申し訳ないよ。お兄さん忙しいのに、妹ならまだしも妹の親友を迎えに行かせるなんて』
妹のお願いとは偉大だ。私にも妹がいるから少しは気持ちもわかる。
『うん、私もびっくりしちゃった。いつもは忙しいとかなにかとお願いしても断られるのに、昨日はあっさり〝わかった〟ってふたつ返事なんだもん』
驚いたのは私の方だ。しかし、すぐに自分に言い聞かせるように返す。
『警察官の義務みたいなものかな? 防犯対策とか教えてくれたし』
一般市民に対する差し障りのないものだ。彼の行動にきっと深い意味などない。
『そうかなぁ? お兄ちゃん、そんなに優しくないと思うけど』
『や、優しいよ!』
納得していない光希につい反射的に反論する。優しさがないなら恋人でも友人でもない私を迎えに来て、さらには家に送り届けたりしないだろう。
本音ではどう思っていたとしても……。
『どうだろう。お兄ちゃん、警察官になってからどこかピリピリしているというか、いつも気を張りつめている感じで、昔よりちょっと近寄りがたいのよね』
それは私も感じた。学生の頃にあったやわらかさはまったくなくなり、口調も雰囲気も厳しいものになっている。
今朝、まずは光希に電話して昨晩の件を謝罪した。光輝さんから先に、無事に私を送り届けた連絡があったらしい。
『申し訳ないよ。お兄さん忙しいのに、妹ならまだしも妹の親友を迎えに行かせるなんて』
妹のお願いとは偉大だ。私にも妹がいるから少しは気持ちもわかる。
『うん、私もびっくりしちゃった。いつもは忙しいとかなにかとお願いしても断られるのに、昨日はあっさり〝わかった〟ってふたつ返事なんだもん』
驚いたのは私の方だ。しかし、すぐに自分に言い聞かせるように返す。
『警察官の義務みたいなものかな? 防犯対策とか教えてくれたし』
一般市民に対する差し障りのないものだ。彼の行動にきっと深い意味などない。
『そうかなぁ? お兄ちゃん、そんなに優しくないと思うけど』
『や、優しいよ!』
納得していない光希につい反射的に反論する。優しさがないなら恋人でも友人でもない私を迎えに来て、さらには家に送り届けたりしないだろう。
本音ではどう思っていたとしても……。
『どうだろう。お兄ちゃん、警察官になってからどこかピリピリしているというか、いつも気を張りつめている感じで、昔よりちょっと近寄りがたいのよね』
それは私も感じた。学生の頃にあったやわらかさはまったくなくなり、口調も雰囲気も厳しいものになっている。