恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~

5.「俺を嫉妬させたいの?」

藤宮くんがアメリカに戻ってすぐ、プロジェクトが動き始めた。

時差もあり、忙しい毎日のはずなのに、彼は約束通り私に連絡をくれていた。

現地で見つけた雑貨、景色などの写真など他愛ない日常生活の報告をしてくれる。

離れていた四年間との違いに戸惑いながらも、届く連絡が嬉しくて、文面を何度も読み返していた。


【今週中には帰国する】


水曜日の朝、突然の帰国予定メッセージに驚く。

出勤途中だった足を止めて、思わず二度見してしまったぐらいだ。

飛行機の到着時刻次第では迎えに行こうかと考え、自分がまだ彼にきちんとした返答をしていない現実を思い出す。


どんな立場で迎えに行くと言うつもり?


広い意味で友人として?


そもそも私の迎えを望んでいる?


出発時は仕事で見送れなかったからと勝手な言い訳を心の内で並べる。

返信のためスマートフォンをタップする指が止まってしまう。

藤宮くんへの気持ちは今も変わらないのに、足踏みばかりしている自分が嫌になる。

今週業務後にある予定は、金曜日の婚活パーティーだけだ。

ふう、とひとつ重いため息を吐く。

結局、正式に帰国日が決まったら教えてほしいという無難な返信しかできなかった。
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