恋慕~再会した強引御曹司に甘く囚われて~

6.君をずっと好きだった ~ Side 匡 ~

数年越しの想いを伝え、やっと手に入れた婚約者が腕の中で小さく身じろぎする。

額にそっと唇で触れ、腕の位置を変えた。

数時間前の彼女の告白を思い出せば、自然に頬が緩む。

窓の外に広がっていた闇は少しずつ明るさをとり戻しつつある。

空の変化に、どれだけ彼女を抱いていたのかと呆れてしまう。

すうすうと俺の胸元で、子どものような寝息を立てる眞玖の柔らかな髪をそっと梳く。

真っすぐで艶やかなこの髪は学生時代からのお気に入りだった。



自慢じゃないが俺はこれまで女性からずいぶんモテてきた。

元々女性と接するのが苦手ではなかったせいもある。

宰は整った面差しをしているが、俺とは違い、学生時代から女性たちと過ごすのが苦手だった。

モテるわりに女性たちを敬遠しがちな宰が隣にいるせいか、俺は女遊びが激しいと周囲によく誤解されていた。

実際は誰ひとり特別な存在はおらず、もちろん手当たり次第に手を出しているわけでもなく、全員が同じ立場の“友人”でしかなかった。


『匡、よくそれでもめ事を起こさないな』


呆れたように親友に言われることもしばしばだったが、誰にも恋愛感情を抱かない俺からすればなにも不思議ではなかった。
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