私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
3:と言うか、私達。犬猿の仲ですよね?
「あー。嫌な夢、見たなぁ……」

 充分な睡眠を取ったおかげで、魔力は満タンになったけど。
 気分は最悪と言ってもよかった。
 これも全部、私に告白をしてきたあいつのせいだ。

 嫌いだと言って遠ざけたかと思えば、そばにいろと命じてくる。

 レオドールは私を、どう思っているのだろう?
 どっちが彼の、本心なの?

 ーーうーん。それがわかれば、苦労はしないんだよなぁ……。

『私が好きって、ほんと?』
『それくらい、自分で考えろ』

 レオドールに問いかけたって、こんなふうに門前払いを食らうだけだしーー。
 彼の人となりをよく知っていて、私が話しやすい人と言えば……。
 思い当たる人物は、あの人しかいなくて……。

「エルネット様、お疲れ様でした。今日は大変でしたね」
「うん! お疲れ! 私、行くところができたから!」
「は、はい……」
「また明日!」

 唸り声を上げて、考え事をしていたからか。
 その様子を見かねて、後輩くんが声をかけてくれたけどーー。

 ごめん。今は、構っている暇がないや。一刻も早く、相談しなきゃいけないの!
 この時間ならきっとーー複雑な手続きを踏まなくても、会えるはずだから。

 私は勢いよくラボを飛び出すと、王城の外れに位置する野原を目指した。
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