私達、犬猿の仲ですよね? 原作知識なしの悪役令嬢が許嫁解消したら、執着ツンデレ系の第二王子から求婚されました!
4:おしとやかな妹
「お、お嬢様!?」
「ただいまー!」

 馴染み深い使用人が目を見開いて驚いているのは、私がなんの前触れもなく転移魔法を使って姿を見せたからだろう。
 こんなんでいちいち騒がれちゃ、やってらんないよ。
 私はなんてことのないように元気よく、彼女に向かって挨拶をした。

「また、転移魔法をお使いになられたのですか……?」
「えへへ。ごめーん。緊急事態で……」
「乱用は避けてくださいと、旦那様から何度も諭されていたはずでは!?」
「そうだ。お父さん、いる?」
「ええ。公爵でしたら、書斎にいらっしゃいますが……」
「ありがとう!」

 使用人のお小言なんて、聞いている場合じゃないや。
 今はとにかく、事実確認をしなきゃ。
 そう考えた私は、ダッシュでお父さんのいる書斎へ向かった。

「お父さん!」
「ノックくらいしなさい」
「いいじゃん。家族なんだから」
「皇太子と許嫁を解消して、気が抜けているのかもしれないが……。エルネットには今、別の縁談が舞い込んでいる」
「それって、第二王子との?」
「……知っていたのか」

 お父さんが目を丸くしているあたり……。
 レオドールが直接求婚してくるのは、やっぱり想定外だったんだね。
< 66 / 241 >

この作品をシェア

pagetop