離婚とか愛とか~鉄の女社長は極上夫に絆される~
せっかく夫婦になったから
昴が絢乃と暮らし始めてから五日が経った。
立花リアルエステイト本社は七階建てで、都内の商業ビルが多い地区にある。
支社と支店は国内各地に二百ほどで、海外にも五箇所の拠点を持っていた。
戸建ての建設も請け負っているが、不動産会社なので物件の紹介や売買が主力の事業だ。
中でも新築マンションを買い取って、分譲や賃貸で売り出す利益割合が年商の大半を占めていた。
時刻は十八時半。
昴が使っている社長室は三階の営業部と同じフロアにあり、壁の一面だけガラス張りになっている。
執務机は大きいが社員が使っているものと同じシンプルなデザインで重厚感はない。
応接セットはこの部屋にはなく、四人掛けのミーティングテーブルと書棚があるだけだ。
父親が健在で社長を務めていた時には、社長室は最上階の絨毯敷きのフロアにあったが、昴が就任して間もなくここに部屋を移した。
業務状況の機微が感じ取りやすく、社員との距離が近い方がいいというのが昴の考え方だ。
「昴くん、それじゃお先に失礼するよ」
片手を上げてにこやかに部屋を出て行ったのは叔父だ。
父の弟で父がいた頃は副社長を務めていたが、今はマネジメントアドバイザーとして週に二、三度、短時間出社する。
三年前、父の死が急だったので後継者は決められていなかった。
昴を推す声の他に副社長の叔父がまず代表取締役社長に就任するべきだという意見もあり、社内が二分する恐れを感じて叔父が自ら経営陣から退いてくれたのだ。
立花リアルエステイト本社は七階建てで、都内の商業ビルが多い地区にある。
支社と支店は国内各地に二百ほどで、海外にも五箇所の拠点を持っていた。
戸建ての建設も請け負っているが、不動産会社なので物件の紹介や売買が主力の事業だ。
中でも新築マンションを買い取って、分譲や賃貸で売り出す利益割合が年商の大半を占めていた。
時刻は十八時半。
昴が使っている社長室は三階の営業部と同じフロアにあり、壁の一面だけガラス張りになっている。
執務机は大きいが社員が使っているものと同じシンプルなデザインで重厚感はない。
応接セットはこの部屋にはなく、四人掛けのミーティングテーブルと書棚があるだけだ。
父親が健在で社長を務めていた時には、社長室は最上階の絨毯敷きのフロアにあったが、昴が就任して間もなくここに部屋を移した。
業務状況の機微が感じ取りやすく、社員との距離が近い方がいいというのが昴の考え方だ。
「昴くん、それじゃお先に失礼するよ」
片手を上げてにこやかに部屋を出て行ったのは叔父だ。
父の弟で父がいた頃は副社長を務めていたが、今はマネジメントアドバイザーとして週に二、三度、短時間出社する。
三年前、父の死が急だったので後継者は決められていなかった。
昴を推す声の他に副社長の叔父がまず代表取締役社長に就任するべきだという意見もあり、社内が二分する恐れを感じて叔父が自ら経営陣から退いてくれたのだ。