初めまして皇帝陛下。どうぞ離婚してくださいませ〜3年放置された花嫁は離婚を突きつける〜
第十四章 アッヘンバッハの不正
今日も陛下と約束をしている政務関連の書類の整理や確認をする、手伝いの時間がやってきた。アッヘンバッハ王国の過去も現状も把握出来るのだから、コルネリアにとって、行かないなんていう理由は存在しなかった。
書類整理は、皇帝陛下の計らいで私には主にアッヘンバッハ王国中心に扱わせてくれていた。
やることは主に帳簿の管理や、文書整理だ。ときには内容の精査をすることもある。
そんな中、今日は納税関連の帳簿を確認していたら、妙な傾向に気がついた。
なんだか、妙にアッヘンバッハ王国が帝国に収める納税量が少ないのよね。
帝国に属する国には、帝国に納税をする義務がある。その量が少ないのだ。
水害とか、悪天候による凶作とか、何かと理由を付けて納税量が落ちていた。その期間はここ三年といった所だろうか。
三年といえば、エルザの子が無事ならば、もうとっくに生まれて育っている頃ね。
きっとあの義実家は、幼い王子の後ろ盾となると共に、政治的にも権力を手に入れようとしていることだろう。政治の中央に立っていてもおかしくない。
彼らの性格からして、そう想像するには容易かった。
──と、納税のことから外れたわ……ね?
私は気付く。
水害が起きたとされたところ、悪天候だったというところ。そこを順に追っていく。
記憶をたどる。
ここは、アッカーマン伯爵領、こちらは、バルヒェット侯爵領、それにこちらはグデーリアン伯爵領で……。順に、その領地を治めている者たちを頭の中の記憶から洗い出していく。
すると、それらの領地は、その領主は、お父さまに取って代わって公爵となった叔父の派閥の者たちであることに気がついた。
そして、派閥の者以外の土地での不作の報告記録はなかったのである。
……これは……。
私は何か深刻なことが起こっていることを感じた。
「陛下。……アッヘンバッハ王国を調べてください」
共に執務室で仕事をしていた陛下とエミルが、何事かとコルネリアの元へやってくる。
「アッヘンバッハが、納税に関して不正をしているかもしれません」
そう言ってから、先ほど気付いた点について、私は順序立てて説明をしていく。
「なるほどねえ。よく気付いたね、皇后陛下」
エミルが、これは面白そうだとばかりに口笛を吹く。そして、手帳らしきものに何やらメモを取っていた。
「これは俺の出番だね」
「あなたの?」
「そ。俺はこの国の暗部の長だから。まあ、次期宰相でもあるんだけどね~」
そう言って、とんでもないことを軽い口調で明かす。なんともまあ、飄々とした人物だと思う。
「アッヘンバッハのことを調べてくるよ。それと一緒に、君のお父さんとお母さんのこともね」
きちんと伝えてくれていたのかと、私は皇帝陛下の方を振り返る。
「調べるのが後手になっていて済まない。だが、こうなったら一気にたたみ込め。いいな、エミル」
「りょーかーい」
そう言うと、ふっとエミルの姿が部屋から消え失せていた。
書類整理は、皇帝陛下の計らいで私には主にアッヘンバッハ王国中心に扱わせてくれていた。
やることは主に帳簿の管理や、文書整理だ。ときには内容の精査をすることもある。
そんな中、今日は納税関連の帳簿を確認していたら、妙な傾向に気がついた。
なんだか、妙にアッヘンバッハ王国が帝国に収める納税量が少ないのよね。
帝国に属する国には、帝国に納税をする義務がある。その量が少ないのだ。
水害とか、悪天候による凶作とか、何かと理由を付けて納税量が落ちていた。その期間はここ三年といった所だろうか。
三年といえば、エルザの子が無事ならば、もうとっくに生まれて育っている頃ね。
きっとあの義実家は、幼い王子の後ろ盾となると共に、政治的にも権力を手に入れようとしていることだろう。政治の中央に立っていてもおかしくない。
彼らの性格からして、そう想像するには容易かった。
──と、納税のことから外れたわ……ね?
私は気付く。
水害が起きたとされたところ、悪天候だったというところ。そこを順に追っていく。
記憶をたどる。
ここは、アッカーマン伯爵領、こちらは、バルヒェット侯爵領、それにこちらはグデーリアン伯爵領で……。順に、その領地を治めている者たちを頭の中の記憶から洗い出していく。
すると、それらの領地は、その領主は、お父さまに取って代わって公爵となった叔父の派閥の者たちであることに気がついた。
そして、派閥の者以外の土地での不作の報告記録はなかったのである。
……これは……。
私は何か深刻なことが起こっていることを感じた。
「陛下。……アッヘンバッハ王国を調べてください」
共に執務室で仕事をしていた陛下とエミルが、何事かとコルネリアの元へやってくる。
「アッヘンバッハが、納税に関して不正をしているかもしれません」
そう言ってから、先ほど気付いた点について、私は順序立てて説明をしていく。
「なるほどねえ。よく気付いたね、皇后陛下」
エミルが、これは面白そうだとばかりに口笛を吹く。そして、手帳らしきものに何やらメモを取っていた。
「これは俺の出番だね」
「あなたの?」
「そ。俺はこの国の暗部の長だから。まあ、次期宰相でもあるんだけどね~」
そう言って、とんでもないことを軽い口調で明かす。なんともまあ、飄々とした人物だと思う。
「アッヘンバッハのことを調べてくるよ。それと一緒に、君のお父さんとお母さんのこともね」
きちんと伝えてくれていたのかと、私は皇帝陛下の方を振り返る。
「調べるのが後手になっていて済まない。だが、こうなったら一気にたたみ込め。いいな、エミル」
「りょーかーい」
そう言うと、ふっとエミルの姿が部屋から消え失せていた。