初めまして皇帝陛下。どうぞ離婚してくださいませ〜3年放置された花嫁は離婚を突きつける〜

第十五章 犯罪者の顛末

 白銀の鎧を着たヴォルフがレッサードラゴンを駆る。彼を護るのは同じくレッサードラゴンに乗った、ロイエンタール帝国が誇る白銀騎士団だ。彼らの銀色の鎧が日の光を浴びて煌めいていた。

 エミルから、ライトマイヤー公爵たちの生活の有り様は調査結果として聞いていた。さらに、ライトマイヤー公爵、その妻、アッヘンバッハの王太子、王太子妃の似せ絵も彼らから入手して頭に叩き込んでいる。断罪するのは最低限彼らだけだ。

 少数精鋭で日中に城へ攻め込む。それが一番手っ取り早いだろう。

 レッサードラゴンは早い。そして逞しかった。白銀の鎧を着た屈強な男たちを乗せても、速度を落とすことはなかった。

 そうして、遠くに目指すアッヘンバッハ王国の城が見えてきた。

 ──コルネリア。お前の積年の思いは晴らしてやるぞ……!

 ヴォルフはそう心の中で誓った。

 愛しいコルネリアを虐げた義父母とその娘。そして、婚約しておきながらコルネリアを易々と捨てて、我が国に人質同然に送りつけたアッヘンバッハ王国の王太子。

 ──許してなるものか。

『冷酷無慈悲な銀狼』の血が騒ぎ、感情が高ぶっていた。

 特にコルネリアの父母を死に追いやったライトマイヤー公爵夫妻を許しておく気は毛頭なかった。
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