自分から身を引いたはずなのに、見つかってしまいました!~外交官のパパは大好きなママと娘を愛し尽くす
第5章
桜の見頃が終わり、新緑が輝いている四月。暖かい日差しが心地よく、周りの木々は新しい葉を生い茂らせている。
両親や美緒と陽稀のサポートを受けながら、一人暮らしをしつつ赤ちゃんを育てていた。
出産してからの一ヶ月間は産後の肥立ちも良く、近くに母が居てくれたので本当に助かった。母の存在は、私にとって心の支えであり、何気ない日常の中での会話がどれほど気を楽にしてくれたか。
在宅での仕事も出産後三ヶ月くらいまでは休んだ。再開後は、生活のために無理をしない程度の仕事量を美緒が調整してくれたおかげで、赤ちゃんを見ながら少しずつ仕事をする生活にも慣れてきた。
最初は不安でいっぱいだったけれど、今では寝ている娘を見つめながらキーボードを打つその瞬間が、どれほどの喜びをもたらすかを実感している。
赤ちゃんの名前は「絢音」と名付け、もうすぐ生後六ヶ月になる。彼女の小さな手が私の指をぎゅっと握るたびに、愛おしさが胸にあふれる。
絢音に本当のお父さんの話をできる日が来るかは分からないけれど、その日がきても胸を張って言える。
私は絢斗さんとはもう会えないけれど、あなたのお父さんはとても立派な方で、優しい方だったんだよ。その想いを込めて、『絢』という一文字をいただいた、と。
昨晩から美緒が遊びがてら東京から車で来てくれて、楽しいひとときを過ごした。今日は陽稀も誘って、自宅アパートから広い公園までみんなで散歩しながら、お弁当を食べることになった。
「天気が良くてよかったね」
「そうだな」
美緒が空を見上げながら言うと、陽稀がそれに答えた。
普段から陽稀が休みの土日で用事がない日は、私と絢音の散歩に付き添ってくれる。いつも私たちを見守ってくれている安心感があった。
公園に着き、絢音の目にはきっと色とりどりの花が映っているはず。四人でこの公園に来るなんて、もしかしたら最初で最後かもしれないけれど……精一杯楽しみたい。
「今日はね、おにぎりと唐揚げとか作ってきたの。あとはね、陽稀が幼稚園の頃から好きなウィンナー巻の玉子焼きも入れてきたよ。陽稀のお母さんの味とは違うかもしれないけどね」
私がそう言うと、陽稀の目が少し輝くのを見て心が温かくなる。
「絢音いるのに、弁当作るの大変だったでしょ?」
陽稀の声には少し心配そうな響きが感じられた。
「ううん、そんなことないよ。絢音はぐっすり寝てくれてたから」
実際、絢音が静かに眠っている姿は、まるで天使のようで、私は幸せを感じていた。
両親や美緒と陽稀のサポートを受けながら、一人暮らしをしつつ赤ちゃんを育てていた。
出産してからの一ヶ月間は産後の肥立ちも良く、近くに母が居てくれたので本当に助かった。母の存在は、私にとって心の支えであり、何気ない日常の中での会話がどれほど気を楽にしてくれたか。
在宅での仕事も出産後三ヶ月くらいまでは休んだ。再開後は、生活のために無理をしない程度の仕事量を美緒が調整してくれたおかげで、赤ちゃんを見ながら少しずつ仕事をする生活にも慣れてきた。
最初は不安でいっぱいだったけれど、今では寝ている娘を見つめながらキーボードを打つその瞬間が、どれほどの喜びをもたらすかを実感している。
赤ちゃんの名前は「絢音」と名付け、もうすぐ生後六ヶ月になる。彼女の小さな手が私の指をぎゅっと握るたびに、愛おしさが胸にあふれる。
絢音に本当のお父さんの話をできる日が来るかは分からないけれど、その日がきても胸を張って言える。
私は絢斗さんとはもう会えないけれど、あなたのお父さんはとても立派な方で、優しい方だったんだよ。その想いを込めて、『絢』という一文字をいただいた、と。
昨晩から美緒が遊びがてら東京から車で来てくれて、楽しいひとときを過ごした。今日は陽稀も誘って、自宅アパートから広い公園までみんなで散歩しながら、お弁当を食べることになった。
「天気が良くてよかったね」
「そうだな」
美緒が空を見上げながら言うと、陽稀がそれに答えた。
普段から陽稀が休みの土日で用事がない日は、私と絢音の散歩に付き添ってくれる。いつも私たちを見守ってくれている安心感があった。
公園に着き、絢音の目にはきっと色とりどりの花が映っているはず。四人でこの公園に来るなんて、もしかしたら最初で最後かもしれないけれど……精一杯楽しみたい。
「今日はね、おにぎりと唐揚げとか作ってきたの。あとはね、陽稀が幼稚園の頃から好きなウィンナー巻の玉子焼きも入れてきたよ。陽稀のお母さんの味とは違うかもしれないけどね」
私がそう言うと、陽稀の目が少し輝くのを見て心が温かくなる。
「絢音いるのに、弁当作るの大変だったでしょ?」
陽稀の声には少し心配そうな響きが感じられた。
「ううん、そんなことないよ。絢音はぐっすり寝てくれてたから」
実際、絢音が静かに眠っている姿は、まるで天使のようで、私は幸せを感じていた。