真夜中のおくりもの - お夜食お届けします - 【短編集】

第4夜

折られて、立て直す暇もなくまた折られて、また折られて、気がついたら隠居みたいになっていた。30代も半ばで。

飼い猫が子猫を産んだ。おまえも隠居だと思っていたら、ちゃっかり恋をしていたんだな。裏切り者め。

小さなアパートの管理人として暮らしている。アパートの前や中、周辺を掃除したり、入居費をもらって管理したり、たまに業者を呼んでいろいろな調整をしてもらったり。
両親から与えられたこの仕事をし、合間には自宅の一軒家の縁側でぼうっとする。ぼうっと仲間だった飼い猫はいまや子育てをしている。子猫たちのもらい手は、飼い猫のかかりつけ医とNPO団体が探してくれている。
インターネットはあまり見ない。また折られてしまうから。
(青空)

ついこの間まで雨空だったのに。何この急に夏が来ちゃった感じ。
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