幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第1話 ただの幼馴染ですから!

「ジャジャーン」

仕事をしていると一枚の名刺が目の前を遮った。
もしもし?
書類が見えないんですが……
しかも、なにその効果音。
会社の忘年会でやった手品の時と同じ効果音よ、それ。

「ちょっとこれ見て、奏花(そよか)!」

名刺から視線を外し、ドヤ顔で笑う同じ課の同期を見上げた。
ショートヘアにキリッとした美人の同期、安西(あんざい)寿実(すずみ)
サバサバした性格で狙った獲物(おとこ)は逃がさない肉食女子にして自称恋愛ハンター。
休みの日はデートがなければ、自分磨きでエステかジム。
私の休み?
私は昼寝です(キッパリ)
寿実のアクティブさを見習いたいくらい。

「いや、見てって……こんな目の前に置かれたら、嫌でも見えるからね?」

邪魔な名刺を手で横にどかした。

「今日の飲み会相手なの。行かない?」

「イベント会社の営業ね」

「そっ!イケメンが多いので有名なイベント会社さん」

企業的な知名度じゃないの?そこは?
まあいいけど。
確かにイケメンが多いことで有名は有名なのよね。
うちの取引先の中でのイケメンランクはS級クラス。
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