幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
第18話 過去の清算【梶井】
お隣だったとはね。
奏花ちゃんからもらったサイダーを手にキッチンに入り、冷蔵庫を開けた。
中身はビールと水がほとんどで食料らしいものは入ってない。
「あの女。思いっきり殴ったな」
頬が痛む。
付き合っていた女はあれでラストのはず。
似たような女ばかりと渡瀬に言われたとおり誰が誰なのかわからないくらい似ていた。
部屋には写真立てが一つだけ置かれている。
母と俺だけがうつる写真。
誰が自分の父なのか知らない。
華やかな母には恋人が多かった。
きっとその中の誰かだ。
そのせいか、母の記憶だけ鮮明に残っている。
恋愛に対して奔放で男にフラレるたび、激しく泣いていたのを思い出す。
一つの恋が終われば、すぐに次の恋へと行くくせに一つ一つの恋が遊びではなく本気だった。
母が飲みすぎて世話をするのはいつも俺の役目。
母に頼られると俺がそこに存在してもいいんだと思えて安心した。
一緒にいるだけで俺は嬉しかった。
酔って眠る母が部屋にいてくれるだけでよかった。
一人にされるよりはいい。
そんなふうにあの頃は思っていた。
写真立てを倒して目を閉じる。
奏花ちゃんからもらったサイダーを手にキッチンに入り、冷蔵庫を開けた。
中身はビールと水がほとんどで食料らしいものは入ってない。
「あの女。思いっきり殴ったな」
頬が痛む。
付き合っていた女はあれでラストのはず。
似たような女ばかりと渡瀬に言われたとおり誰が誰なのかわからないくらい似ていた。
部屋には写真立てが一つだけ置かれている。
母と俺だけがうつる写真。
誰が自分の父なのか知らない。
華やかな母には恋人が多かった。
きっとその中の誰かだ。
そのせいか、母の記憶だけ鮮明に残っている。
恋愛に対して奔放で男にフラレるたび、激しく泣いていたのを思い出す。
一つの恋が終われば、すぐに次の恋へと行くくせに一つ一つの恋が遊びではなく本気だった。
母が飲みすぎて世話をするのはいつも俺の役目。
母に頼られると俺がそこに存在してもいいんだと思えて安心した。
一緒にいるだけで俺は嬉しかった。
酔って眠る母が部屋にいてくれるだけでよかった。
一人にされるよりはいい。
そんなふうにあの頃は思っていた。
写真立てを倒して目を閉じる。