幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第20話 似て非なるもの

梶井(かじい)さんはイタリアンレストランと宣言した通り、南イタリアの海沿いをイメージしたおしゃれな店に私を連れきた。
港近くの公園がライトアップされ、ガラス張りの大きな窓からはライトアップされた橋と公園が見える。
ガラスボトルや樽など、イタリアの漁師町のような内装。
店の売りは魚介類で新鮮な魚のムニエル、魚介がふんだんに入ったパスタ、ジェラートは食べ放題。

「どう?奏花(そよか)ちゃん」

「どうと言われても……」

パスタをくるくるとフォークで巻いた。
逢生(あお)はちゃんとごはん食べたかな。
遅くなるって連絡できなかったから、心配しているかもしれない。
連絡したいけど、ずっと梶井さんは私をじっーと見ているし……
まるで観察されているみたいだった。
はぁっとため息をつくと梶井さんは苦笑した。

「女性にそんな態度をとられるのは初めてかもしれないな。店、気に入らなかった?」

自分が憂鬱そうな顔をしていることに気づき、ハッと我に返った。
強引に連れてこられたとはいえ、今の態度はよくなかった。
だいたい逢生が心配するなんてことない。
私が残業の時は遅いのが当たり前なんだし。
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