幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第24話 ライバルじゃない

「私、梶井(かじい)さんとは一緒にはいけません」

崩れることがないと思っていた梶井さんのポーカーフェイスが崩れた。
それこそ高校生の頃に戻ったんじゃないかと思わせるような顔で。
感情をこぼれさせていた。
しばらく、私と梶井さんは黙って見つめ合っていた。
どちらがなにを言うのか、お互いを探るようにして。
私達の沈黙を破ったのは周りの声と音だった。
近くの会議室のドアがバタンッと大きな音をたてて開き、会議を終えた社員達が廊下にバラバラと出てきた。
梶井さんを見るといつもの顔に戻り、笑っている。

「さすがに奏花(そよか)ちゃんは手強(てごわ)いな。俺をチェリストの道に戻しただけある」

「梶井さーん、渓内(たにうち)さんとなんの話ですかー?」

会議を終えた先輩達が集まって来た。

「食事に誘ったけど、フラれたとこ」

「それじゃあ、私と食事に行きませんか?」

「ずるい!私だって行きたいんだから」

「いいよ。みんなで食事に行こうか」

梶井さんが笑いながら明るく言った。

「えー!いいんですかー!」

「もちろん」
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