幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
第26話 自分にとって必要なもの【梶井】
「なるほど。自分の存在をアピールしたつもりが逆に自分の気持ちと向き合われちゃって、ライバルにもってかれたパターンですか」
―――こいつを呼ぶんじゃなかった。
額に手をあてた。
完全な人選ミス。
傷口に塩を塗り込むようなものだったな……
大勢との食事が終わり、まっすぐマンションに帰るような気分になれず、二軒目は静かに飲みたいと思ったまではよかった。
ただ一人は嫌だった。
誰かを呼ぼうにも全員と別れたせいで手ごろな相手が誰も見つからない。
かといって、新しい女性という気分にもなれなかった。
スマホを眺めて目についたのは女だけど恋愛関係にはならない相手。
仕事関係者を選んだ。
それがこいつ、渡瀬結心だ。
渡瀬はいつも通りのグレーのスーツ姿でメガネをかけて現れた。
ホテルのラウンジバーと伝えたが、こいつの服装にブレはない。
顔色一つ変えずにツカツカと俺に近寄ってくるとスッと隣に座って俺に新しい仕事を提示する。
なんだ、これは。
新たな仕事の契約書だった。
「失恋してちょうどよかったです。さあ、新しい仕事を受けて失恋の傷を癒しましょうか」
「勝手に失恋にするな」
―――こいつを呼ぶんじゃなかった。
額に手をあてた。
完全な人選ミス。
傷口に塩を塗り込むようなものだったな……
大勢との食事が終わり、まっすぐマンションに帰るような気分になれず、二軒目は静かに飲みたいと思ったまではよかった。
ただ一人は嫌だった。
誰かを呼ぼうにも全員と別れたせいで手ごろな相手が誰も見つからない。
かといって、新しい女性という気分にもなれなかった。
スマホを眺めて目についたのは女だけど恋愛関係にはならない相手。
仕事関係者を選んだ。
それがこいつ、渡瀬結心だ。
渡瀬はいつも通りのグレーのスーツ姿でメガネをかけて現れた。
ホテルのラウンジバーと伝えたが、こいつの服装にブレはない。
顔色一つ変えずにツカツカと俺に近寄ってくるとスッと隣に座って俺に新しい仕事を提示する。
なんだ、これは。
新たな仕事の契約書だった。
「失恋してちょうどよかったです。さあ、新しい仕事を受けて失恋の傷を癒しましょうか」
「勝手に失恋にするな」