幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
第9話 挑戦状
コンサート会場の建物が見えなくなっても逢生はどんどん歩いて行って立ち止まらない。
顔が前を向いていて、どんな表情をしているかわからなくて私から声をかけた。
「逢生。勝手に出てきてよかったの?」
「平気。きっと知久と唯冬がうまくやってくれるから」
それはどういう信頼関係よ。
春の夜はまだ肌寒い。
すでに桜の木は葉桜となり、散った桜の花びらはどこへ行ったのか一枚も見えなくなっていた。
逢生は駅に向かうサラリーマンや塾の学生達の流れとは逆方向へ歩いていく。
「どこいくの?電車で帰らないの?」
「奏花に話したいことがある」
足を止め、振り返った。
その顔は真剣そのものでドキッとしてしまった。
「な、なに?改まって」
「俺、家を出てマンションで暮らすことにした」
「そうなの?どうして?」
一人暮らしをしなくても逢生の両親は忙しい人達だから、今もほとんど一人で暮らしているようなものなのに。
「今のままだと奏花にとって俺はただの隣の幼馴染みで終わってしまうから」
「そんな理由で一人暮らしを始めなくても……」
顔が前を向いていて、どんな表情をしているかわからなくて私から声をかけた。
「逢生。勝手に出てきてよかったの?」
「平気。きっと知久と唯冬がうまくやってくれるから」
それはどういう信頼関係よ。
春の夜はまだ肌寒い。
すでに桜の木は葉桜となり、散った桜の花びらはどこへ行ったのか一枚も見えなくなっていた。
逢生は駅に向かうサラリーマンや塾の学生達の流れとは逆方向へ歩いていく。
「どこいくの?電車で帰らないの?」
「奏花に話したいことがある」
足を止め、振り返った。
その顔は真剣そのものでドキッとしてしまった。
「な、なに?改まって」
「俺、家を出てマンションで暮らすことにした」
「そうなの?どうして?」
一人暮らしをしなくても逢生の両親は忙しい人達だから、今もほとんど一人で暮らしているようなものなのに。
「今のままだと奏花にとって俺はただの隣の幼馴染みで終わってしまうから」
「そんな理由で一人暮らしを始めなくても……」