幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第12話 引っ越し戦線

私のファーストキスをよくもっ……!
荷物を片付けながら、逢生の様子を伺った。
さっきの失態を挽回するため、近寄れないように怒りのオーラを放ち、逢生をにらみつけていた。
まだ心臓がばくばくいっている。
なんてことするのよっー!
キュンというより心臓を横殴りされたようなものだ。

「逢生、私から提案があります。ちゃんと聞くのよ。いい?」

「だめ」

「まだ何も言ってないでしょ」

逢生に拒否権はないのっ!
ダンッと床を踏み鳴らし、びしっと指をつきつけた。

「絶対ルールを決めます」

「うん」

こくっと素直に逢生はうなずいた。
よし!

「私の部屋には絶対に入ってこないでよ。私の部屋とはここの線を言います」

びしっとフローリングの木目を指さした。

「線?」

「そう。ここから先は立ち入り禁止のラインとします」

本をしばってあった紐をほどき、すすっと床に置いた。
長い線を作る。

「わかったわね?」

「わかった」

そう言いながら、逢生はひょいっと線をまたいだ。

「あっ!ちょっとー!ここから立ち入り禁止って言ったでしょ!」

紐を拾って逢生は笑う。

「もう子供じゃないんだから」
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