幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第14話 君との再会は特別【梶井】

まとわりつく甘い香水の匂い。
自分の部屋には女を入れない主義だ。
女と会うのはいつも外で。
誰の痕跡も部屋には残されたくない。
肢体をからませ、俺の上に乗り、キスをする。
膝をつき、抱きついたまま、しつこくまとわりついていた。
さすがにうんざりして手で体をどかした。

「仕事だって言っているだろ」

紅い唇を避けて立ち上がった。

「行かないでって言っても行くの?」

すがるように背後から抱きしめられ、白い胸が背中に押しあてられた。
それを冷ややかに見おろすと目があった。
女の目は愛情というよりは憎悪。
嫉妬というよりは独占欲。
俺を支配したいのだろう。
言い寄るのはこんな女ばかりだ。

「仕事だ」

理滉(みちひろ)は結局、誰も好きじゃないのよ……!」

―――そうかもな。
否定はしなかった。
一緒にいた女の名前も思い出せないくらいだった。

「服を着ろよ」

いつまでもベッドの上から動かない女に落ちていた服を投げた。

「私を嫌いになった?」

「そうじゃない」

「私はただ理滉に一緒にいて欲しいだけなの」

怒ったり泣いたりと忙しい。
泣く女には逆らえないか。
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