幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】
第16話 マンションのお隣さん
―――パンッ!
マンションのエレベーターから降りると同時に乾いた音がした。
「自分からは別れないって言ったじゃない!」
「そう確かに言った。でも気が変わった」
「……ひどい!」
美人な女の人が泣きながら、横を通り過ぎて行った。
梶井さんの頬が赤くなり、痕が残っていた。
まるで映画かドラマ。
こんな現場を目撃してしまうとは気まずいことこの上ない。
本屋に寄らず、さっさとスーパーに行き、夕飯の買い物を済ませるべきだったと今になって後悔した。
「あ、あの、こんばんは」
無視できずに挨拶だけでもと思いながら、挨拶をすると梶井さんが笑った。
笑うと高校生の頃の梶井さんの雰囲気が残っていて、知らない人みたいに見えていた顔がちゃんと私が知っている人に見えてホッとした。
「こんばんは。奏花ちゃん。あー、今の見られたくなかったな」
「は、はあ。すみません。タイミング悪くて。大丈夫ですか?」
「なれているから気にしなくていいよ」
なれてるって、女の人から殴られるのが?
それだけモテるってこと?
これだから、イケメンは……
マンションのエレベーターから降りると同時に乾いた音がした。
「自分からは別れないって言ったじゃない!」
「そう確かに言った。でも気が変わった」
「……ひどい!」
美人な女の人が泣きながら、横を通り過ぎて行った。
梶井さんの頬が赤くなり、痕が残っていた。
まるで映画かドラマ。
こんな現場を目撃してしまうとは気まずいことこの上ない。
本屋に寄らず、さっさとスーパーに行き、夕飯の買い物を済ませるべきだったと今になって後悔した。
「あ、あの、こんばんは」
無視できずに挨拶だけでもと思いながら、挨拶をすると梶井さんが笑った。
笑うと高校生の頃の梶井さんの雰囲気が残っていて、知らない人みたいに見えていた顔がちゃんと私が知っている人に見えてホッとした。
「こんばんは。奏花ちゃん。あー、今の見られたくなかったな」
「は、はあ。すみません。タイミング悪くて。大丈夫ですか?」
「なれているから気にしなくていいよ」
なれてるって、女の人から殴られるのが?
それだけモテるってこと?
これだから、イケメンは……