幼馴染は私を囲いたい!【菱水シリーズ②】

第17話 違い

リビングのドアの前で深呼吸を一つした。
逢生(あお)は勘がいいから私がいつもと違うとすぐに察知してくる。
心を落ち着けて入るわよ。
平常心、平常心―――

「ただいま……」

「おかえり、奏花(そよか)。アイス食べる?」

逢生の気の抜けた声でさっきの疲労感がドッとでた。
よろよろとレジ袋を持ってキッチンに入るとお風呂あがりの逢生が上半身裸のままソーダアイスを食べようとしているところだった。
現状を把握するのに数秒思考が停止する。
なんで裸なのよぉぉぉっー!
倒れそうになって壁に手をついた。
逢生は濡れた髪のまま、タオルを頭からかぶって、いそいそとアイスの袋を開けている。
そんな嬉しそうな顔でアイスを食べるなら、アイスメーカーも大喜びよ……
しかも棒が二本ついた懐かしのダブルソーダアイス。
わざわざネットで取り寄せて購入するくらいアイスが大好きな逢生は私の顔とアイスを交互に見、アイスをぱきっと割って半分くれた。

「あ、ありがと」

黙ってアイスを二人でもぐもぐと食べた。
水色のソーダアイスを食べ終わると棒をみる。
ハズレだ。
―――って違う!
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