未亡人ママはスパダリ義兄の本気の愛に気付かない

久我山沙織という母親


季節は秋を迎えていた。

水曜日は授業が早く終わるらしく、必ず龍が夕食を食べに、椿と翔真の部屋へやってきた。

いつの間にかそれが習慣になり、気がつけば椿も三人分の食事を作り、龍が来るのを待っている。

このまま、三人でこんな穏やかな日々を続けていけたら・・・

椿は、いつしかそんな思いを胸に抱くようになっていた。

ある水曜日の夕食時に、龍が唐突に言った。

「椿さん。近々母に会いに行くんだが、君も翔真と一緒に来ないか?」

椿お手製のカレーを食べながらそう言う龍に、椿はどう答えていいのかわからなかった。
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