未亡人ママはスパダリ義兄の本気の愛に気付かない
思い出に変わっても
「久我山さん。そういえばあのスパダリとは結局どうなったの?もうデートくらいした?」
『スーパー三つ葉』の休憩室でお弁当を食べていた椿は、隣で惣菜パンを囓りながらニヤニヤと笑う幸枝にそう問われ、ギクリとした。
言えない・・・すでに入籍して一緒に暮らしているなんて・・・
椿は龍と再婚してからも、『スーパー三つ葉』に時短パートで働き続けていた。
実際のところ、龍の稼ぎだけで充分暮らしていける。
けれど翔真も小学生になってだいぶ手がかからなくなったし、家で家事だけしているより仕事をして身体を動かしているほうが椿の性に合っていた。
「椿さんの好きなようにしたらいい。働いている椿さんも魅力的だ。」
そう言って龍も、働き続けたいという椿の気持ちを尊重してくれた。