未亡人ママはスパダリ義兄の本気の愛に気付かない

番外編 翔真のひとりごと


ママが龍と再婚して3年が経った。

心配性なママとマイペースな龍の間で、僕は愛されて生きている。

それはとても幸せに満ちた時間だ。




ママは、ずっと龍に塩対応だったくせに、いまではメロメロだ。

ふたり並んでソファに座って映画を観ているとき、ママは何食わぬ顔で、龍と指を絡ませている。

映画のストーリーが最高潮に達すると、ママは頭を龍の広い肩に乗せ、甘えている。

そんなママを、龍は抱き寄せる。

そしてふたりは見つめあい、顔を近づけ、熱いチューをする。

後ろで僕が見ていることも気付かずに・・・まったく、同じ屋根の下に息子がいることを忘れないで欲しい。

僕は全部知っているんだぞ。

僕のいないときに、ママと龍が秘密のデートをしてることや、一緒にお風呂に入ってることだって。

でも、龍が相手だから、特別に許してあげるけど。




龍に恋をしたママは、すごく綺麗になった。

もともと色が白くて、大きな瞳と長いまつげが可愛くて、笑ったときのえくぼがキュートで、僕の自慢のママだったけど、龍とラブラブになってからは、身体全体からキラキラと輝くようなオーラが出ている。

前はTシャツにジーンズしか着ていなかったけど、いまは家にいてもお洒落に気を使っている。

さりげなく小さなパールのイヤリングをつけたり、唇も桜色のリップでいつもツヤツヤしている。

もちろん僕と龍がプレゼントしたハートのペンダントも、毎日のようにつけてくれている。

そして鏡を見て、自分の顔をよくチェックしている。

きっと龍に最高の自分を見せたいんだと思う。

ママが僕のことばかりじゃなく、自分のことにも目を向けてピカピカになっていくことが、僕は嬉しい。

龍にママを取られてしまったみたいで淋しくないかって?

心配ご無用。

ママの一番はやっぱり僕だ。

龍の名前より僕の名前の方が、ママから2倍多く呼ばれているはずだ。

ママが僕を抱きしめているのを、龍は羨ましそうにじーっと見ている。

そんなとき僕は、優越感に満ちた顔で、龍に微笑むんだ。




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