未亡人ママはスパダリ義兄の本気の愛に気付かない

まさかの隣人


一ヶ月後――



朝食を作る椿の耳に、外から複数の足音と、ドスンという荷物を置く音が響いた。

「ママ。外が騒がしいね。何の音?」

「うーん。なんだろうね?ちょっと見てみようか?」

椿と翔真は玄関のドアをそっと開けた。

ふたりの住むマンションは築年数が古く、5階建てにもかかわらずエレベーターがない。

信と共に見つけたこのマンションの3階に、椿と翔真は今も暮らしていた。

見ると、階段から引っ越し業者と思われる制服を着た男性達が、椿たちの隣の部屋へ次々と荷物を運び込んでいた。

椿たちが住む303号室の隣、304号室には以前、夫婦と小学生の子供二人の四人家族が暮らしていた。

しかし、部屋が手狭になったため、半年前に引っ越し、以来空室となっていた。
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