未亡人ママはスパダリ義兄の本気の愛に気付かない

シャンパンに酔わされて


カラカラとワゴンが転がる音が店内に響く。

いつものように椿は幸枝と食品の品出しをしていた。

棚の隙間を埋めるように商品を並べる。

今日は新商品のカップ飯が入ってきた。

「カルボナーラ飯」という有名食品会社の今期一押し商品で、カップにお湯を入れ3分経つと、ミルキーなカルボナーラ風味のご飯が出来上がるらしい。

「これってどんな味なんだろうね?意外と美味しかったりして。私試しに買っていこうかな?」

幸枝が「カルボナーラ飯」を棚に並べながら言った。

椿も「カルボナーラ飯」のカップを手に取り、原材料の表記をみる。

加工品だから仕方がないが、成分表示の細かい文字を眺めると、その添加物の多さにため息がこぼれる。

翔真に買っていったら喜びそうだ。

けれど、やはり健康のことが気になって仕方がない。

椿が「カルボナーラ飯」を棚に戻そうと思ったその瞬間・・・不意に指先が軽くなった。

驚いて振り返ると、背後の誰かがカップをひょいと持ち上げていた。
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