紙飛行機くんのだいぼうけん
僕は紙飛行機。
ひなのちゃんって言うかわいい女の子が作ってくれた、紙飛行機。
僕を飛ばすひなのちゃんは楽しそうで嬉しそうで。そんなひなのちゃんを見ていると、僕まで嬉しくなった。
けどある日、大きい風に乗ってしまった僕は、とおくとおくに飛んでいってしまい。ひなのちゃんとはぐれてしまったんだ。
──ああ、願わくば、ひなのちゃんのところに戻りたい。いや、僕はあきらめない。僕はかならずひなのちゃんのところに帰る!そしてまた、ひなのちゃんに飛ばしてもらうんだ!
けど……どうしたらいいんだろ?
今僕は、木の枝と枝の間に引っ掛かっており、風が吹いても動かない。すると、カラスが僕のそばに来て、僕のことをくちばしでつっついた。
ひらり。
カラスがつっついたことにより、僕は枝と枝の間から抜けられた。そして、風に乗ってひらりひらりと空を飛ぶ。けど、すぐに風は止まってしまい、僕は地面に落ちた。
はぁ、ここどこだろ?早くひなのちゃんに会いたいな。
すると、突風が吹いて僕の体がふわりと浮き、ひらりひらりと空を飛ぶ。そして風が止まり、僕はまた地面に落ちる。
風が吹いては僕は空を飛び、風が止まれば僕は地面に落ち。それを何度も何度も繰り返した。
風が止まり、僕がまた地面に落ちた時だった。僕の目の前に茶トラ猫が来たかと思えば、僕を咥えてたったと走った。
ええ!?ちょっ!僕は食べられないよ?美味しくないよ!?
猫に、紙きれの僕の声なんて届くわけなく。猫に咥えられながら僕が叫んでいると、猫は公園のベンチのそばで足を止め、咥えていた僕を離した。すると。
わ!やめて!たたかないで!
猫は僕にネコパンチしはじめた。
だんだんとぼろぼろになっていく、僕の翼。
──ああ、これじゃあもう、ひなのちゃんと一緒に遊べない。もう、ひなのちゃんに飛ばしてもらえない……
悲しくなりながら僕が思っていた時だった。
「あ!私の紙飛行機あった!ダメねこちゃん!いじめないで!」
と、ひなのちゃんの声が聞こえた。
やっと、ひなのちゃんに会えた。けどもう僕は──……
意識が遠くなっていった。
……ん?
目を覚ますと、目の前にひなのちゃんがいた。
「よし!これで大丈夫!」
目が覚めると、僕は綺麗に直されていた。
「なくしちゃってごめんね。また、ひなのとあそんでね!」
ひなのちゃんはそう言って、微笑んでくれた。
うん!僕もひなのちゃんと遊びたい!
そして僕はまた、ひなのちゃんに飛ばしてもらえたのでした。
おしまい。