年下敏腕パイロットは想い焦がれた政略妻をこの手で愛して離さない
幸せのフライト
あれから数日後、一日の勤務を終えた私は、今日はいつも以上にどっと疲れを感じていた。

私がぐずぐずと発表を遅らせていたことも原因なのだろうが、最近、ところどころで奏多くんと沙羅の結婚の噂が大きくなってきている。そして、先日の会議室での出来事も影響しているのか、空港スタッフの視線をやけに感じることが多かった。きっと、私が征爾兄さまの相手だと思われているのだろう。

どうしてこんなことになってしまったのか……。

今日は奏多くんが長い勤務を終えて帰ってくる日だ。疲れているかもしれないが、少しでも話ができればと思う。こんなことなら、あの出発前の晩、話しておけばよかった。

おいしいものでも作って、家で待っていよう。そんなことを考えながら、更衣室へ向かった。
制服のスカーフを外し、着替え始めたそのときだった。
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