私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
March 第1話 甘い香り
私には憧れの人がいる―――チェロを弾く姿はそこに神様が降りたんじゃないかって思わせるような人。
特に彼が弾く曲の中でもサンサーンスの白鳥は別格。
初めて聴いた時、あまりの切なさと美しさに涙がこぼれた。
泣いたのは私だけじゃない。
周りの人も同じように涙ぐんでいた。
そんなすごい人だった。
―――私が憧れる梶井理滉という人は。
「ねえ、あれ、チェリストの梶井理滉じゃない?」
店内に響いたその名前にふっと私は立ち止まった。
私が聞き間違えるはずがなかった。
お客さん達の視線を追うと、そこには日本人離れをした顔立ちのセクシーな男の人がいた。
あふれでる大人の男の魅力。
本物の梶井理滉だった。
こんな近くで見るなんて思ってもなかった。
つい、ふらふらと近くに寄っていって顔をじっーと見てしまう。
甘い香水の香りがしてドキドキした。
うわぁ!本物!
「ちょっと店員さん、オレンジジュースはまだなの?」
お客さんに声をかけられて、ハッと我に返った。
自分の手にオレンジジュースを持ったままだったのを思い出した。
仕事中だっていうのに私ときたら―――
特に彼が弾く曲の中でもサンサーンスの白鳥は別格。
初めて聴いた時、あまりの切なさと美しさに涙がこぼれた。
泣いたのは私だけじゃない。
周りの人も同じように涙ぐんでいた。
そんなすごい人だった。
―――私が憧れる梶井理滉という人は。
「ねえ、あれ、チェリストの梶井理滉じゃない?」
店内に響いたその名前にふっと私は立ち止まった。
私が聞き間違えるはずがなかった。
お客さん達の視線を追うと、そこには日本人離れをした顔立ちのセクシーな男の人がいた。
あふれでる大人の男の魅力。
本物の梶井理滉だった。
こんな近くで見るなんて思ってもなかった。
つい、ふらふらと近くに寄っていって顔をじっーと見てしまう。
甘い香水の香りがしてドキドキした。
うわぁ!本物!
「ちょっと店員さん、オレンジジュースはまだなの?」
お客さんに声をかけられて、ハッと我に返った。
自分の手にオレンジジュースを持ったままだったのを思い出した。
仕事中だっていうのに私ときたら―――
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