私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
March 第5話 視線
気合いの入ったメイクと持っている中で一番大人っぽいワンピースを選んだ。
ひざ丈のクラシカルなベージュのワンピースにパールがついたクラッチバッグ。
シフォンのシルクスカーフはロングタイプで同系色を選んだ。
ボブの髪をなんとかアップにして大人っぽくする。
『ウサギちゃん』なんてもう呼ばせない。
呼ばせてなるものか……!
アンクルストラップ付のクリーム色のパンプスをはいた。
ヒールの高いパンプスを選んで身長の底上げをした。
どこからどうみても高校生なんかに見えない。
「ちょっとがんばりすぎたかな……」
でも、これで私が大人の女だということはわかるはず―――って、私のことなんて梶井さんはもう忘れてるかも。
会場は広いし、私なんかきっと目に入らない。
そんなことわかってる。
手にしたチケットをジッと見つめた。
『梶井理滉クラシックコンサート』とチケットには書いてある。
あの人はオーケストラと共演する大ホールでのコンサートができてしまうすごい人。
大勢の中の一人でしかない自分。
わかっているくせにいつもより着飾ってしまった。
ひざ丈のクラシカルなベージュのワンピースにパールがついたクラッチバッグ。
シフォンのシルクスカーフはロングタイプで同系色を選んだ。
ボブの髪をなんとかアップにして大人っぽくする。
『ウサギちゃん』なんてもう呼ばせない。
呼ばせてなるものか……!
アンクルストラップ付のクリーム色のパンプスをはいた。
ヒールの高いパンプスを選んで身長の底上げをした。
どこからどうみても高校生なんかに見えない。
「ちょっとがんばりすぎたかな……」
でも、これで私が大人の女だということはわかるはず―――って、私のことなんて梶井さんはもう忘れてるかも。
会場は広いし、私なんかきっと目に入らない。
そんなことわかってる。
手にしたチケットをジッと見つめた。
『梶井理滉クラシックコンサート』とチケットには書いてある。
あの人はオーケストラと共演する大ホールでのコンサートができてしまうすごい人。
大勢の中の一人でしかない自分。
わかっているくせにいつもより着飾ってしまった。