私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
March 第6話 泣く子には勝てない
コンサートが終わり、人の波と一緒にホールから出た。
外はすでに暗く、三月のひんやりとした夜の空気が肌に触れた。
ワンピースと同じクリーム色のジャケットを忘れてきてしまった。
急いでいたからだけど―――今となっては失敗したと軽く後悔した。
会場に来た時は菜湖ちゃんが車で送ってくれたから、寒いとは思わなかった。
家を出た時は確かに手にジャケットを持っていたのはずなのに。
「車の中に置いてきちゃったのかも」
外に出ると半袖のワンピースは寒かった。
張り切ったのが馬鹿みたいだ。
コンサートが終わり、冷たい風に熱が冷まされていく。
今となってはファンの一人でちょっと話しただけの私が何を期待していたのだろうかと恥ずかしくなった。
カフェ店員でしかない私がこの先、梶井さんとなにかあるなんて期待すること自体がおこがましい。
長いアンコールと鳴りやまない拍手。
眩しい光の中でほほ笑む梶井さんの姿を思い出した。
恥ずかしさと情けない気持ちでトボトボと夜道を歩いた。
見栄を張って履いた高いヒールのパンプスも足が痛くてしかたないだけで、ドキドキした気持ちはもう消えていた。
なにもかもが失敗だった。
外はすでに暗く、三月のひんやりとした夜の空気が肌に触れた。
ワンピースと同じクリーム色のジャケットを忘れてきてしまった。
急いでいたからだけど―――今となっては失敗したと軽く後悔した。
会場に来た時は菜湖ちゃんが車で送ってくれたから、寒いとは思わなかった。
家を出た時は確かに手にジャケットを持っていたのはずなのに。
「車の中に置いてきちゃったのかも」
外に出ると半袖のワンピースは寒かった。
張り切ったのが馬鹿みたいだ。
コンサートが終わり、冷たい風に熱が冷まされていく。
今となってはファンの一人でちょっと話しただけの私が何を期待していたのだろうかと恥ずかしくなった。
カフェ店員でしかない私がこの先、梶井さんとなにかあるなんて期待すること自体がおこがましい。
長いアンコールと鳴りやまない拍手。
眩しい光の中でほほ笑む梶井さんの姿を思い出した。
恥ずかしさと情けない気持ちでトボトボと夜道を歩いた。
見栄を張って履いた高いヒールのパンプスも足が痛くてしかたないだけで、ドキドキした気持ちはもう消えていた。
なにもかもが失敗だった。