私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
April 第8話 この恋は
桜の花の時期は短いと思う。
咲いていたと思っていた桜の花はあっという間に散ってしまい、緑の葉で枝が隠れ始めていた。
私は働きだしたとは言え、バイトからの社員扱いだったから、変わりない毎日を過ごしていた。
開店準備を済ませた私は新しい号の音楽雑誌を本棚に置いた。
カフェ『音の葉』は主に音楽雑誌を並べている。
だから、どうしてもチェックしてしまう。
『梶井理滉の挑戦』
『首席チェリストとして活躍』
『日本を旅立ち、新たな音楽との出会い』
ファッションモデルみたいにドイツの街並みの中で自然に微笑む梶井さん。
「望未ちゃん。さっきからそのページ、ずっと見てるけど、もしかして梶井さんのファンなの?」
小百里さんが花瓶に花を生けながら微笑んだ。
花屋で買ったカスミソウが小百里さんによく似合っていた。
「大学生の時に梶井さんと出会って、それでファンになったんです」
「望未ちゃん。梶井さんは悪い人ではないけど、悪い男だから気を付けたほうがいいよ」
そう言って穂風さんはココット型に入ったイチゴババロアをテーブルに置いた。
咲いていたと思っていた桜の花はあっという間に散ってしまい、緑の葉で枝が隠れ始めていた。
私は働きだしたとは言え、バイトからの社員扱いだったから、変わりない毎日を過ごしていた。
開店準備を済ませた私は新しい号の音楽雑誌を本棚に置いた。
カフェ『音の葉』は主に音楽雑誌を並べている。
だから、どうしてもチェックしてしまう。
『梶井理滉の挑戦』
『首席チェリストとして活躍』
『日本を旅立ち、新たな音楽との出会い』
ファッションモデルみたいにドイツの街並みの中で自然に微笑む梶井さん。
「望未ちゃん。さっきからそのページ、ずっと見てるけど、もしかして梶井さんのファンなの?」
小百里さんが花瓶に花を生けながら微笑んだ。
花屋で買ったカスミソウが小百里さんによく似合っていた。
「大学生の時に梶井さんと出会って、それでファンになったんです」
「望未ちゃん。梶井さんは悪い人ではないけど、悪い男だから気を付けたほうがいいよ」
そう言って穂風さんはココット型に入ったイチゴババロアをテーブルに置いた。