私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
April 第9話 あなたの音
夕闇が庭を染める頃、仕事帰りの常連さんやご近所の老夫婦が集まり出した。
テーブルにセッティングしたキャンドルの火が揺らめき、今日のために用意した星座が描かれた青いガラスのコップに水を注ぐ。
特に開演の時間や決まりはなく、出入りは自由だ。
気ままに弾いて楽しむだけの演奏会。
まずは唯冬さんの演奏からのスタート。
唯冬さんが弾くのはしっとりとしたサティのジムノペディ。
夕暮れから夜の闇に変わる時間にぴったりで常連の方達の中には目を閉じて聴いている方もいた。
だから、料理を運ぶ私もそっと音をたてないようにテーブルに置いていく。
「ありがとう、望未ちゃん」
そんな私の気遣いに小百里さんは気づいてくれているようでうれしかった。
唯冬さんが終わると次は千愛さん。
常連さんの期待に応えるようにラ・カンパネラを弾く。
正確な鐘の音の中にどこか楽しげな色。
あんな難しい曲なのに感情を乗せて弾いていた。
弾き終わると大きな拍手が起きた。
「やっぱり千愛には敵わないな」
「そんなことないわよ。唯冬のほうがよかったわ」
テーブルにセッティングしたキャンドルの火が揺らめき、今日のために用意した星座が描かれた青いガラスのコップに水を注ぐ。
特に開演の時間や決まりはなく、出入りは自由だ。
気ままに弾いて楽しむだけの演奏会。
まずは唯冬さんの演奏からのスタート。
唯冬さんが弾くのはしっとりとしたサティのジムノペディ。
夕暮れから夜の闇に変わる時間にぴったりで常連の方達の中には目を閉じて聴いている方もいた。
だから、料理を運ぶ私もそっと音をたてないようにテーブルに置いていく。
「ありがとう、望未ちゃん」
そんな私の気遣いに小百里さんは気づいてくれているようでうれしかった。
唯冬さんが終わると次は千愛さん。
常連さんの期待に応えるようにラ・カンパネラを弾く。
正確な鐘の音の中にどこか楽しげな色。
あんな難しい曲なのに感情を乗せて弾いていた。
弾き終わると大きな拍手が起きた。
「やっぱり千愛には敵わないな」
「そんなことないわよ。唯冬のほうがよかったわ」