私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】
May 第13話 特別な存在
カフェ『音の葉』はランチタイムが一番忙しい。
一番忙しい時間帯が終わって、気づいた頃には関家君も達貴さんもいなくなっていた。
梶井さんも帰ってしまったかなと残念な気持ちで席のほうを見ると、まだ仕事の打ち合わせ中だったらしく、渡瀬さんの分厚いスケジュール帳がテーブルに広げられていた。
梶井さん達のテーブル横に立ち、話している二人がいる。
チェリストの深月さんと恋人の奏花さんだった。
なにを話しているのかまではわからないけど、深月さんをからかって楽しんでいるのはわかった。
そして、梶井さんの目は奏花さんを見ていて、それは―――私が見たことないくらい優しい目をしていた。
「なんだ……いたんだ……」
特別な人が。
ちゃんと。
梶井さんは人と距離を置くタイプなんだって勝手に思っていた。
好きな人がいても当たり前なのにショックを受けるほうがおかしい。
だけど、思ったよりも堪えたみたいで、二人を席に案内しなくちゃいけないのになかなか足が動かなかった。
もう一度、見ると深月さんが怒りながら、手で梶井さんから奏花さんをガードしていた。
一番忙しい時間帯が終わって、気づいた頃には関家君も達貴さんもいなくなっていた。
梶井さんも帰ってしまったかなと残念な気持ちで席のほうを見ると、まだ仕事の打ち合わせ中だったらしく、渡瀬さんの分厚いスケジュール帳がテーブルに広げられていた。
梶井さん達のテーブル横に立ち、話している二人がいる。
チェリストの深月さんと恋人の奏花さんだった。
なにを話しているのかまではわからないけど、深月さんをからかって楽しんでいるのはわかった。
そして、梶井さんの目は奏花さんを見ていて、それは―――私が見たことないくらい優しい目をしていた。
「なんだ……いたんだ……」
特別な人が。
ちゃんと。
梶井さんは人と距離を置くタイプなんだって勝手に思っていた。
好きな人がいても当たり前なのにショックを受けるほうがおかしい。
だけど、思ったよりも堪えたみたいで、二人を席に案内しなくちゃいけないのになかなか足が動かなかった。
もう一度、見ると深月さんが怒りながら、手で梶井さんから奏花さんをガードしていた。