私のことが必要ないなんて言わせません!【菱水シリーズ③】

May 第14話 公園

なにを考えているのか、わからない。
ずっと昨日から梶井さんからもらった連絡先を眺めていた。

「はあ……」

溜息をつきながら、ごろごろとリビングの床に転がっていると菜湖(なこ)ちゃんが私を叱った。

「もー!起きてからずっと転がったままだよ!?それに溜息ばっかり!」

だって嬉しいのに嬉しくない。
頭の中に奏花(そよか)さんや千亜妃(ちあき)さんと話す梶井さんの顔を思い出してしまう。
連絡先をもらったからといって喜んでいいのか悪いのか、わからない複雑な気持ちだった。
クッションを抱きかかえたまま、逆さまの世界から菜湖ちゃんを見た。

望未(みみ)ちゃん。私は仕事だからもう出勤するけど、お昼ご飯をお菓子で済ませたらだめだからね?」

「うん……」

「あと、私は今日の夜は彼と食事だから」

「うん」

菜湖ちゃんには優しくて素敵な彼氏ができた。
妹の私から見ても菜湖ちゃんは綺麗だし、しっかりしてるし、男の人に振り回されてる私とは大違い。
ぼすっとクッションに顔をうずめた。

「今日、何もやることなくてヒマなら、おつかいに行ってきて」

「えー、雨が降りそうなのに?」
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