25年ぶりに会ったら、元・政略婚相手が執着系社長になってました

25年後の再会 美和子

──どうして、あの人がここにいるの?

25年前、二度と会いたくないと思った、あの自己中心的な男。
それなのに、どうして、そんな優しいまなざしで私を見るの……?

忘れてる? いや、忘れるはずない。
名前までちゃんと覚えてた。
……ってことは、覚えてて、これなの?

「お母さんたち、知り合いだったの?」
かなが驚いた顔で私を見る。

真樹さんが先に答えた。「うん、かなり昔にね」

(よかった……お見合い相手だった、なんて言われたら、もう立ってられなかった)

落ち着いているふりをしながら、テーブルにつく。
向かい合わせで座るのは──あれ以来、初めて。

真樹さんは、あのころよりもずっと落ち着いて見えた。
もともと整った顔立ちだったけど、今はそこに貫禄が加わっていて……男の人ってずるいな、って思う。

女は歳を重ねると「しわ」や「たるみ」ばかりが気になるのに、男はそれすら“深み”になるなんて。

それにしても、あいかわらず自信満々そうな雰囲気は変わってない。
──かな、大丈夫かしら。こんな人が義父になるなんて、想像つかない。

たしか、奥様は病気で亡くされたって聞いてる。
そのあとも、きっとモテたんだろうな……
真面目に食事しながら、私は心の中でぐるぐるといろんな想像をめぐらせていた。

まさか、25年越しで、またこの人と向き合うことになるなんて──
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