彼の秘密は、溺愛付き。

その寝言は、きっかけ

それから数週間はいつも通りの日常だった。

いつも通りの日常なのに……会社で三原くんとすれ違うとつい顔を逸らしてしまったり、土曜日にカフェに行く度に三原くんがいるか確認してしまったり、そんな日々だった。

カフェに三原くんが出勤していないと知ると、安心したような安心しないようなまるで自分の心じゃないと思うほど感情が理解出来なかった。

それでも資格の試験日が近づいているのも事実で。

別に絶対に取らないといけない資格ではないのだから、落ちたらまた受け直せば良いだけ。

そう分かっているのに、今まで勉強を休んでいた日曜日まで机に向かってしまう日もあった。

「平塚さん、疲れてますか？」

後輩の月永ちゃんにそう聞かれて顔を上げると、温かいコーヒーを渡してくれる。