彼の秘密は、溺愛付き。
甘くて知らない世界
スマホのタイマーの音楽が小さく鳴っている。

「ん……」

あれ家じゃない?

ああ、そうだった。

今日は残業していて仮眠をとっていたんだった。

目を開けたら残りの仕事を終わらせて、帰ったら少しだけ資格の復習をして、それから明日のお弁当の下準備をしないと。

そんなことを考えながらゆっくり(まぶた)を開けると、紺色のスーツ生地が見えた気がした。

まだちゃんと働かない頭でも目の前に人がいると気づいた瞬間に、一気に目が覚めたのが分かった。




「三原くん、なんでいるの……!?」




私のデスクの隣に立っている三原くんは、どこか不機嫌な様子で座った私を見下ろしている。
< 42 / 70 >

この作品をシェア

pagetop