彼の秘密は、溺愛付き。
一粒のチョコレート
慌ただしいような落ち着いたような日々は流れるように過ぎていって、あっという間に試験日になっていた。

試験日の前日、三原くんに仕事の昼休みに会うと爽やかな笑顔で「ファイト!」と言われた。

大した出来事じゃないはずなのに、その一言の応援で試験日前の緊張が取れてしまった。

試験日の前日はあまり眠れないだろうと思っていたのに、ぐっすり眠れた自分に驚く。

今日は土曜日だけれど、試験日でいつものようにカフェに行けない。

バッグには受験票と参考書と筆記用具、それに水筒と時計。

いつもとは違う持ち物がバッグに入っているだけで、「今日は試験日」という感じがしてしまう。

試験会場に入らなければ行けない時間まではまだ少し時間があった。

「やっぱりカフェに行ってみようかな……」

お茶を出来る時間まであるかは怪しいのに、私の足はもうカフェに向かっていた。
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