Love Potion
過去
…・…・―――…・・…・――――
「もしもし?」
美月から迅で呼ばれ、感情のコントロールが上手くいかなくなった俺は、亜蘭へ電話をかけていた。
<はい。どうしましたか?>
「実は……」
今日の出来事を亜蘭へ伝える。
<あの、加賀宮さん。美月さんに嫌われたいんですか?何がしたいか、よくわからないんですけど。好意を寄せる女性に無理やり身体を……って。さっぱり俺には理解できません。そんなに恋愛下手でしたっけ?>
容赦ない言葉。さすがの俺でも自信を無くしそうになる。
「こんなに恋愛って難しいんだな。美月のことになると、制御できなくて」
弱音なんて、普段は吐かないのに。
<まぁ、加賀宮さんの場合、幼少期の家庭環境に問題ありますし。そんな風にしか女性を愛せないのもわかりますけど。美月さんからしてみれば、良い迷惑ですよ。呼び出されて身体だけ求められたかと思えば、優しくされて。俺だったらそんな男、いつまで経っても信用できません。食べ物で釣られてもね?>
美月、美味そうに食べてたけど。
「そうだよな……」
<でも、《《名前》》で呼んでくれたんでしょ?記憶、戻ったってことですか?>
「いや、そんな雰囲気ではなかった。あいつ演技下手そうだし、俺のこと思い出したらなんかすぐわかりそうだけど。一瞬、何かの拍子に呼んでくれたのかもしれない」
いきなりの<迅くん>呼びには、動揺した。
<そうですか。あ、そうそう。九条孝介については、《《絶賛》》浮気中です。今日も雇っている家政婦の家に向かいました。よくもまぁ、こんなに堂々とできますよ。実家に泊まるとか出張とか理由付けしてますけど、美月さんが疑ってるとか思わないんですかね>
「例え自分が浮気をしていても、美月には何もできないことがわかってるから、こんなに堂々としているんだろ。家に帰ってきてもDV、モラハラが酷いみたいだ。家に居ない方が美月のためになるから、結果良いと思ってる」
ケガをしている彼女を、孝介から一刻も早く離したい。
だけど、今はその準備がまだ整っていない。
<そんなに美月さんのことが好きなら、本人の前でも素直になればいいのに……>
「素直に……なったよ。可愛いって伝えて、俺が毎日幸せにしてやろうか?って言った」
ハハっと亜蘭が電話越しに笑ったのが聞こえた。
<で、美月さんから何て返事が?>
「どうしたの?今日、変。その後、あー。はいはいって流された」
ハハハハハとさっきよりも長い笑い声が聞こえる。
そんなに面白いか?
<アハハッ……。あー、すみません。そんな風に加賀宮さんに言えるのは美月さんだけだし、加賀宮さんが玉砕されてるのってあんまりないから、面白くて>
「俺は全然面白くないけどな」
<とりあえず、こっちはこっちで引き続き、九条孝介の《《調査》》について進めます。加賀宮さんは、ちゃーんと美月さんが信頼できる人になってください>
亜蘭にこんなこと言われたの、初めてかも。
「わかった」
電話を終え、ふぅと息を吐いた。
本当に欲しいモノを手に入れるって、こんなにも難しいのか。
…・…・―――…・・…・――――
「もしもし?」
美月から迅で呼ばれ、感情のコントロールが上手くいかなくなった俺は、亜蘭へ電話をかけていた。
<はい。どうしましたか?>
「実は……」
今日の出来事を亜蘭へ伝える。
<あの、加賀宮さん。美月さんに嫌われたいんですか?何がしたいか、よくわからないんですけど。好意を寄せる女性に無理やり身体を……って。さっぱり俺には理解できません。そんなに恋愛下手でしたっけ?>
容赦ない言葉。さすがの俺でも自信を無くしそうになる。
「こんなに恋愛って難しいんだな。美月のことになると、制御できなくて」
弱音なんて、普段は吐かないのに。
<まぁ、加賀宮さんの場合、幼少期の家庭環境に問題ありますし。そんな風にしか女性を愛せないのもわかりますけど。美月さんからしてみれば、良い迷惑ですよ。呼び出されて身体だけ求められたかと思えば、優しくされて。俺だったらそんな男、いつまで経っても信用できません。食べ物で釣られてもね?>
美月、美味そうに食べてたけど。
「そうだよな……」
<でも、《《名前》》で呼んでくれたんでしょ?記憶、戻ったってことですか?>
「いや、そんな雰囲気ではなかった。あいつ演技下手そうだし、俺のこと思い出したらなんかすぐわかりそうだけど。一瞬、何かの拍子に呼んでくれたのかもしれない」
いきなりの<迅くん>呼びには、動揺した。
<そうですか。あ、そうそう。九条孝介については、《《絶賛》》浮気中です。今日も雇っている家政婦の家に向かいました。よくもまぁ、こんなに堂々とできますよ。実家に泊まるとか出張とか理由付けしてますけど、美月さんが疑ってるとか思わないんですかね>
「例え自分が浮気をしていても、美月には何もできないことがわかってるから、こんなに堂々としているんだろ。家に帰ってきてもDV、モラハラが酷いみたいだ。家に居ない方が美月のためになるから、結果良いと思ってる」
ケガをしている彼女を、孝介から一刻も早く離したい。
だけど、今はその準備がまだ整っていない。
<そんなに美月さんのことが好きなら、本人の前でも素直になればいいのに……>
「素直に……なったよ。可愛いって伝えて、俺が毎日幸せにしてやろうか?って言った」
ハハっと亜蘭が電話越しに笑ったのが聞こえた。
<で、美月さんから何て返事が?>
「どうしたの?今日、変。その後、あー。はいはいって流された」
ハハハハハとさっきよりも長い笑い声が聞こえる。
そんなに面白いか?
<アハハッ……。あー、すみません。そんな風に加賀宮さんに言えるのは美月さんだけだし、加賀宮さんが玉砕されてるのってあんまりないから、面白くて>
「俺は全然面白くないけどな」
<とりあえず、こっちはこっちで引き続き、九条孝介の《《調査》》について進めます。加賀宮さんは、ちゃーんと美月さんが信頼できる人になってください>
亜蘭にこんなこと言われたの、初めてかも。
「わかった」
電話を終え、ふぅと息を吐いた。
本当に欲しいモノを手に入れるって、こんなにも難しいのか。
…・…・―――…・・…・――――