満月に引き寄せられた恋〜雪花姫とツンデレ副社長〜
第3章 満月の願い
デザイン課に戻り、退社の支度を始める。
まずは、明日一番に取りかかる予定の桐箱デザインのセットを引き出しにしまった。
先ほどの雪花姫の米袋デザインが無事に通り、今なら桐箱も勢いでササッと描けそうな気がする。だけど、今夜はやめておこう。少しだけ、この充実感を味わっていたいから。
ようやく見つけた『自分の居場所』。その実感を、もうしばらく感じていたかった。
机を整え、一番下の引き出しから鍵を使ってバッグを取り出す。ついでに、バッグの中も片づけておこうかな。
まず目に入ったのは、くしゃくしゃになったレシートやガムの包み紙。
「なんでこんなに溜めたのよ……」と、思わず自分にツッコミたくなる。
財布と化粧ポーチを確認してから、ふと視界に入った持ち歩き用のスケッチブックに手が止まった。一見すると大きめのプランナーのような、B5サイズのスケッチブック。一年ほど前からずっと、バッグの中に入れっぱなしになっていた。
以前はよく手に取って、最後のページを見ては涙を流していた。けれど、ここ最近はもう、開くことすらなかった。
忘れたいのか。
忘れたくないのか。
自分でもわからないまま。
ただ、ひとつだけ確かに感じていたことがある。
それは……、
私は、幸せになってはいけない。
まずは、明日一番に取りかかる予定の桐箱デザインのセットを引き出しにしまった。
先ほどの雪花姫の米袋デザインが無事に通り、今なら桐箱も勢いでササッと描けそうな気がする。だけど、今夜はやめておこう。少しだけ、この充実感を味わっていたいから。
ようやく見つけた『自分の居場所』。その実感を、もうしばらく感じていたかった。
机を整え、一番下の引き出しから鍵を使ってバッグを取り出す。ついでに、バッグの中も片づけておこうかな。
まず目に入ったのは、くしゃくしゃになったレシートやガムの包み紙。
「なんでこんなに溜めたのよ……」と、思わず自分にツッコミたくなる。
財布と化粧ポーチを確認してから、ふと視界に入った持ち歩き用のスケッチブックに手が止まった。一見すると大きめのプランナーのような、B5サイズのスケッチブック。一年ほど前からずっと、バッグの中に入れっぱなしになっていた。
以前はよく手に取って、最後のページを見ては涙を流していた。けれど、ここ最近はもう、開くことすらなかった。
忘れたいのか。
忘れたくないのか。
自分でもわからないまま。
ただ、ひとつだけ確かに感じていたことがある。
それは……、
私は、幸せになってはいけない。