この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
尾行
(……まただわ)
品川駅の構内を歩きながら、違和感を感じた凛香は、肩からかけたバッグの持ち手をギュッと握りしめた。
金曜日の十九時半。
まさに帰宅ラッシュの真っただ中。
人波に呑まれながらも、背後に誰かの視線を感じて緊張感が高まる。
(気のせいなんかじゃない。今朝オフィスに出社した時も、ランチに出かけた時も、同じように誰かに見られていた)
凛香は意を決すると、行き交う人の流れから外れて壁際で立ち止まった。
バッグからスマートフォンを取り出し、メッセージを確認しているフリをしながら、そっと視線を動かす。
スーツ姿の男性が、少し離れた売店の角に隠れるのが見えた。
凛香はさり気なくスマートフォンの角度を変えて、動画の撮影を始める。
ちょうど二本指でズームインした時、壁からそっと男性が顔を覗かせた。
(やっぱり……。でも、いったいなぜ?)
気を引き締めつつ、凛香は動画を撮影したまま改札の方へと歩き出す。
すると少ししてから、男性もあとをついて来た。
もはや疑惑は確信へと変わる。
凛香はくるりと踵を返し、スタスタと男性に向かって歩き出した。
ハッとしたように、慌てて男性が背を向ける。
そのすぐ脇を通り過ぎ、凛香はそのまま足早に駅をあとにした。
品川駅の構内を歩きながら、違和感を感じた凛香は、肩からかけたバッグの持ち手をギュッと握りしめた。
金曜日の十九時半。
まさに帰宅ラッシュの真っただ中。
人波に呑まれながらも、背後に誰かの視線を感じて緊張感が高まる。
(気のせいなんかじゃない。今朝オフィスに出社した時も、ランチに出かけた時も、同じように誰かに見られていた)
凛香は意を決すると、行き交う人の流れから外れて壁際で立ち止まった。
バッグからスマートフォンを取り出し、メッセージを確認しているフリをしながら、そっと視線を動かす。
スーツ姿の男性が、少し離れた売店の角に隠れるのが見えた。
凛香はさり気なくスマートフォンの角度を変えて、動画の撮影を始める。
ちょうど二本指でズームインした時、壁からそっと男性が顔を覗かせた。
(やっぱり……。でも、いったいなぜ?)
気を引き締めつつ、凛香は動画を撮影したまま改札の方へと歩き出す。
すると少ししてから、男性もあとをついて来た。
もはや疑惑は確信へと変わる。
凛香はくるりと踵を返し、スタスタと男性に向かって歩き出した。
ハッとしたように、慌てて男性が背を向ける。
そのすぐ脇を通り過ぎ、凛香はそのまま足早に駅をあとにした。
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