この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
懇親会
迎えた翌週の金曜日の:十八時。
懇親会の会場であるホテルの客室で、凛香は矢島から説明を受けていた。
「この小型イヤホンを耳に着けてください。マイクはこの小さなブローチです。胸元に着けておいてください。なにもしなくても、あなたや周りの人の声が私たちに聞こえるようになっています。テストしてみますね」
そう言うと矢島は、バスルームに入ってドアを閉めた。
『こちら矢島です。深月さん、聞こえますか?』
左耳に着けたイヤホンから声がして、凛香は「深月です。聞こえます」と返事をした。
カチャッとバスルームのドアが開いて、矢島が戻ってくる。
「よさそうですね。では懇親会の間、ずっと着けたままでお願いします。周りに気づかれないようご注意ください」
「はい、承知しました」
「朝比奈検事からは、なにかありますか?」
矢島に聞かれて礼央は首を振る。
「いや、なにも」
「では深月さん、よろしくお願いします。我々はこの部屋で、懇親会の様子をモニターで見ております。何かありましたらこっそりご連絡ください。えっと、開始時間はあと四十五分後ですね?」
聞かれて凛香は頷く。
「はい。私は一度社長が待つ客室に戻り、着替えてから会場のバンケットホールに向かいます。それからこちらは、私の知り得る限りですが、今夜の参加者の企業と役職と名前をまとめました。ご参考までに」
ファイルに綴じた資料を差し出すと、矢島は「えっ!」と驚く。
「いいんですか?」
「はい。警察の方にこんなことを言うのはおこがましいですが、くれぐれも内密にお願いします」
「もちろん心得ております。ありがとうございます、深月さん」
満面の笑みを浮かべる矢島に「それでは、失礼します」と頭を下げてから、凛香は部屋を出ていった。
懇親会の会場であるホテルの客室で、凛香は矢島から説明を受けていた。
「この小型イヤホンを耳に着けてください。マイクはこの小さなブローチです。胸元に着けておいてください。なにもしなくても、あなたや周りの人の声が私たちに聞こえるようになっています。テストしてみますね」
そう言うと矢島は、バスルームに入ってドアを閉めた。
『こちら矢島です。深月さん、聞こえますか?』
左耳に着けたイヤホンから声がして、凛香は「深月です。聞こえます」と返事をした。
カチャッとバスルームのドアが開いて、矢島が戻ってくる。
「よさそうですね。では懇親会の間、ずっと着けたままでお願いします。周りに気づかれないようご注意ください」
「はい、承知しました」
「朝比奈検事からは、なにかありますか?」
矢島に聞かれて礼央は首を振る。
「いや、なにも」
「では深月さん、よろしくお願いします。我々はこの部屋で、懇親会の様子をモニターで見ております。何かありましたらこっそりご連絡ください。えっと、開始時間はあと四十五分後ですね?」
聞かれて凛香は頷く。
「はい。私は一度社長が待つ客室に戻り、着替えてから会場のバンケットホールに向かいます。それからこちらは、私の知り得る限りですが、今夜の参加者の企業と役職と名前をまとめました。ご参考までに」
ファイルに綴じた資料を差し出すと、矢島は「えっ!」と驚く。
「いいんですか?」
「はい。警察の方にこんなことを言うのはおこがましいですが、くれぐれも内密にお願いします」
「もちろん心得ております。ありがとうございます、深月さん」
満面の笑みを浮かべる矢島に「それでは、失礼します」と頭を下げてから、凛香は部屋を出ていった。