この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
戦う覚悟
「いやー、なかなか楽しかったですね」

エントランスに佇んで見送ってくれる凛香に、にこにこと手を振ってから、矢島は満足げにしゃべり始めた。

「なんか俺、大企業のイケてるビジネスマンの気分になりましたよ。毎日こんなピカピカのオフィスで働いてると、テンション上がりますね。ドラマの世界ですよ。オシャレなミーティングスペースに、景色のいいリフレッシュエリア。ランチも美味しかったですし、社員の皆さんは華やかだしかっこいいし。こういうところでオフィスラブが生まれんですね」

止まらないマシンガントークに、礼央は大きなため息をつく。

「お前な。捜査に来たのに居眠りするとは、刑事としてあるまじき行為だぞ。見逃してやったのに、仕事も忘れてウキウキしやがって。なにがオフィスラブだ?上司に居眠りを報告してやってもいいんだぞ」
「わー、すみません! 心入れ替えますから」
「当然だ。やることは山のようにある。署に戻ったらすぐに取りかかるぞ」
「はい!」

足早に駅へと向かう礼央に、矢島もピタリとついていく。
電車に揺られながら、礼央は頭の中で事件を整理していった。
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