この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
隣の部屋
「深月さん、この部屋です」
「はい、失礼します」
矢島に案内され、凛香はそっと玄関に入る。
礼央のマンションは外観からして高級感に溢れ、まるでホテルのようだった。
低層レジデンスで緑豊かなガーデンを囲み、一棟ずつゆったりと設計されている。
礼央は単身者向けの棟の三階に住んでおり、たまたま隣の部屋に空きが出たところを警察の要請で押さえることができた。
「あの、本当にこんなところを使わせていただいても大丈夫なのですか?」
「もちろん。ここなら朝比奈検事がそばであなたを警護できますから。朝比奈さんは検事ですけど、柔道にはめっぽう強いって噂ですよ。体格もいいですもんね。俺、あっさり投げ飛ばされそう。ははっ!」
矢島に続いて靴を脱いで上がり、凛香は部屋を見渡す。
「え、ベッドまで用意してくださったんですか?」
シンプルなワンルームには、ベッドとローテーブルが置かれ、カーテンやラグも新品のようだった。
「ひとまずの家具だけですみません。冷蔵庫と電子レンジはキッチンにあります。掃除機とか洗濯機は手配してなくて……」
「これで充分です。ありがとうございます」
「いいえ。それから女性警官が購入した衣類や日用品は、クローゼットに置いてあるそうです。取り敢えずの食料も冷蔵庫に入れたそうですから、後ほどご確認ください」
「はい。矢島さん、本当にありがとうございました」
「とんでもない。こちらこそ無理を言ってすみません。しばらくは不自由な生活になってしまいますが、早期解決に向けて全力で捜査に当たります。なにかあればいつでも連絡してくださいね」
そう言って矢島はまた署に戻って行った。
(さてと。とにかくちょっと休憩しようかな)
凜香はキッチンへ行き、冷蔵庫を開ける。
ペットボトルの飲み物や惣菜など、二日分くらいの食料が入っていた。
コンロには小さな鍋とフライパン、あとは電気ケトルも置いてある。
(お弁当とお惣菜はありがたいけど、お料理したいしなあ。確か隣の棟に小さいスーパーが入ってたよね)
このレジデンスは共用スペースも充実しており、スーパーの他にもコンビニやクリニック、パーティールームやトレーニングジムもあった。
セキュリティーカードを持つ住人しか入れないエリアで、そこなら一人で行っても構わないと矢島に言われている。
凜香は早速行ってみることにした。
(えっと、その前に着替えようかな。あと足りないものも確認しよう)
そう思い、クローゼットを開ける。
綺麗な色合いの洋服が何着か掛けられていて、下着や部屋着などもチェストに入っていた。
だがよく見ると、凜香が普段着るようなシンプルな服ではなく、ファッション雑誌に載っているような女子力の高そうな服ばかりだった。
(女性の警察官の方に服のサイズは伝えたけど、好みまでは言わなかったからなあ。こんなフェミニンな服、私には似合わなそう。でも贅沢は言っていられない。警察が用意してくれたってことは、国民の税金からってことだもんね)
うん、と気持ちを引き締める。
財布とスマートフォンだけ手にすると、着替えはせずスーツのジャケットを脱いで玄関を出た。
エレベーターで一階に下り、隣のコミュニティ棟に入る。
スーパーで野菜やお肉などの食材と、コーヒーや紅茶、あとは化粧品やシャンプーなどの日用品も買って部屋に戻った。
「はい、失礼します」
矢島に案内され、凛香はそっと玄関に入る。
礼央のマンションは外観からして高級感に溢れ、まるでホテルのようだった。
低層レジデンスで緑豊かなガーデンを囲み、一棟ずつゆったりと設計されている。
礼央は単身者向けの棟の三階に住んでおり、たまたま隣の部屋に空きが出たところを警察の要請で押さえることができた。
「あの、本当にこんなところを使わせていただいても大丈夫なのですか?」
「もちろん。ここなら朝比奈検事がそばであなたを警護できますから。朝比奈さんは検事ですけど、柔道にはめっぽう強いって噂ですよ。体格もいいですもんね。俺、あっさり投げ飛ばされそう。ははっ!」
矢島に続いて靴を脱いで上がり、凛香は部屋を見渡す。
「え、ベッドまで用意してくださったんですか?」
シンプルなワンルームには、ベッドとローテーブルが置かれ、カーテンやラグも新品のようだった。
「ひとまずの家具だけですみません。冷蔵庫と電子レンジはキッチンにあります。掃除機とか洗濯機は手配してなくて……」
「これで充分です。ありがとうございます」
「いいえ。それから女性警官が購入した衣類や日用品は、クローゼットに置いてあるそうです。取り敢えずの食料も冷蔵庫に入れたそうですから、後ほどご確認ください」
「はい。矢島さん、本当にありがとうございました」
「とんでもない。こちらこそ無理を言ってすみません。しばらくは不自由な生活になってしまいますが、早期解決に向けて全力で捜査に当たります。なにかあればいつでも連絡してくださいね」
そう言って矢島はまた署に戻って行った。
(さてと。とにかくちょっと休憩しようかな)
凜香はキッチンへ行き、冷蔵庫を開ける。
ペットボトルの飲み物や惣菜など、二日分くらいの食料が入っていた。
コンロには小さな鍋とフライパン、あとは電気ケトルも置いてある。
(お弁当とお惣菜はありがたいけど、お料理したいしなあ。確か隣の棟に小さいスーパーが入ってたよね)
このレジデンスは共用スペースも充実しており、スーパーの他にもコンビニやクリニック、パーティールームやトレーニングジムもあった。
セキュリティーカードを持つ住人しか入れないエリアで、そこなら一人で行っても構わないと矢島に言われている。
凜香は早速行ってみることにした。
(えっと、その前に着替えようかな。あと足りないものも確認しよう)
そう思い、クローゼットを開ける。
綺麗な色合いの洋服が何着か掛けられていて、下着や部屋着などもチェストに入っていた。
だがよく見ると、凜香が普段着るようなシンプルな服ではなく、ファッション雑誌に載っているような女子力の高そうな服ばかりだった。
(女性の警察官の方に服のサイズは伝えたけど、好みまでは言わなかったからなあ。こんなフェミニンな服、私には似合わなそう。でも贅沢は言っていられない。警察が用意してくれたってことは、国民の税金からってことだもんね)
うん、と気持ちを引き締める。
財布とスマートフォンだけ手にすると、着替えはせずスーツのジャケットを脱いで玄関を出た。
エレベーターで一階に下り、隣のコミュニティ棟に入る。
スーパーで野菜やお肉などの食材と、コーヒーや紅茶、あとは化粧品やシャンプーなどの日用品も買って部屋に戻った。