この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
プロポーズ
「深月さん、今夜食事でも一緒にどうかな?」

出社して今日の予定を伝えたところで、鮎川社長にそう切り出され、凛香は驚く。

「私と社長が、でしょうか?」
「そう。君には黒岩副社長のことで、散々苦労をかけてしまった。せめてものお詫びとして」
「いえ、そんな。どうぞお気遣いなく」

そう言ってタブレットを手に退室しようと、凛香は社長にお辞儀をする。

「では失礼いたします」
「ちょっと待って。うーん、困ったな。本当に君はガードが固い。それなら、事件について詳しく教えてほしい。今後の会社のことも相談したいし。それならいい?」
「そうですね。確かに会社の今後の方針は早めに固めないと。説明責任もありますから」
「ああ。じゃあ、今夜定時になったらここに来てくれる? 一緒に退社しよう」
「かしこまりました。それでは」

凛香は今度こそ社長室をあとにした。
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