この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
プロポーズの返事
「おかえりなさい!」
「うわあ!」
玄関に出迎えに来た凜香に、礼央の後ろにいた矢島が大声を上げて仰け反った。
「矢島、うるさい」
「だって、すごい破壊力なんですもん。新婚さんって、こんな世界なんだ。はあ、いいなあ」
「なにをわけの分からないことを言っている。ドア閉めるぞ」
「わー、入らせてくださいよ」
慌てて玄関に入ってきた矢島に、凜香はにっこり笑ってスリッパを用意した。
「どうぞ、上がってくださいね」
「はい。愛の巣にお邪魔します、奥さま」
ゴツッと矢島の頭にゲンコツを落としてから、礼央はスタスタとリビングに入った。
「すぐに夕食を用意しますね。お二人とも座っててください」
二人をダイニングテーブルに促すと、凜香はパタパタとキッチンに戻った。
今日は朝から礼央の車で一緒に警視庁に行き、午前中に凜香の事情聴取をした。
そのあと一旦凜香をマンションまで送り届けて検察庁へ行き、退庁する時に、スマートフォンを凜香に渡したいと言う矢島を拾って帰宅した。
庁舎で渡さなかったのは、おそらく凜香が礼央の部屋に住むことになったと知って、覗きに来たかったからだろう。
「矢島さん、お帰りはタクシーですよね? お酒、ご用意しますね」
「ありがとうございます、奥さま」
またしても、ピシッと礼央の手が飛んでくる。
「いちいちなんですか、朝比奈さん。器が小さいなあ」
「なんだと!? 人の女を気安く呼ぶお前が悪い」
「うひゃ! 暑い暑い。南国、常夏、アマゾンの赤道直下」
その時、凜香がよく冷えたビールとグラスを持ってきて、二人の前に並べた。
「先に飲んでてくださいね。これ、おつまみです」
そう言って小皿も並べると、またキッチンへと戻って行く凜香に礼央が立ち上がった。
「凜香、座ってろ。俺が運ぶ」
「ううん、大丈夫。あ、じゃあ礼央さんと矢島さんのお箸だけお願いします」
「ああ。ついでにこれも持って行く」
「ありがとうございます」
ニヤニヤと二人の様子を眺めている矢島の前に立ちふさがり、礼央はドンと大皿を置く。
「おお、美味しそう! 奥さまはお料理上手ですもんね。朝比奈さん、めっちゃ健康になりそう。いつも脂っこいものばかり食べてましたから」
するとみそ汁や焼き魚を運んできた凜香が頷く。
「本当に食生活も睡眠も心配でした。矢島さんは? 身体にいいもの食べて、ちゃんと寝られてますか?」
「うーん、食事はコンビニおにぎり。睡眠は仮眠室とデスクでのうたた寝ですね」
「えー、心配。私、矢島さんの分も作りますから、いつでも食べに来てくださいね」
「いいんですか!?」
「もちろんです」
勝ち誇ったような笑顔を向けてくる矢島を、礼央はギロリと睨みつけた。
「年に一回だけならな」
「はあ? もう、ヤキモチもここまできたらアッパレですね」
二人の会話を知ってか知らずか、忙しく動き回っていた凜香がようやく席に着く。
「それでは、どうぞ。召し上がってください」
「いただきます。と、その前に……。結ばれたお二人の愛に、かんぱーい!」
えっ、と頬を赤らめる凜香と、ビシッと空手チョップを入れる礼央。
矢島はそんな二人に、高々とグラスを掲げた。
「うわあ!」
玄関に出迎えに来た凜香に、礼央の後ろにいた矢島が大声を上げて仰け反った。
「矢島、うるさい」
「だって、すごい破壊力なんですもん。新婚さんって、こんな世界なんだ。はあ、いいなあ」
「なにをわけの分からないことを言っている。ドア閉めるぞ」
「わー、入らせてくださいよ」
慌てて玄関に入ってきた矢島に、凜香はにっこり笑ってスリッパを用意した。
「どうぞ、上がってくださいね」
「はい。愛の巣にお邪魔します、奥さま」
ゴツッと矢島の頭にゲンコツを落としてから、礼央はスタスタとリビングに入った。
「すぐに夕食を用意しますね。お二人とも座っててください」
二人をダイニングテーブルに促すと、凜香はパタパタとキッチンに戻った。
今日は朝から礼央の車で一緒に警視庁に行き、午前中に凜香の事情聴取をした。
そのあと一旦凜香をマンションまで送り届けて検察庁へ行き、退庁する時に、スマートフォンを凜香に渡したいと言う矢島を拾って帰宅した。
庁舎で渡さなかったのは、おそらく凜香が礼央の部屋に住むことになったと知って、覗きに来たかったからだろう。
「矢島さん、お帰りはタクシーですよね? お酒、ご用意しますね」
「ありがとうございます、奥さま」
またしても、ピシッと礼央の手が飛んでくる。
「いちいちなんですか、朝比奈さん。器が小さいなあ」
「なんだと!? 人の女を気安く呼ぶお前が悪い」
「うひゃ! 暑い暑い。南国、常夏、アマゾンの赤道直下」
その時、凜香がよく冷えたビールとグラスを持ってきて、二人の前に並べた。
「先に飲んでてくださいね。これ、おつまみです」
そう言って小皿も並べると、またキッチンへと戻って行く凜香に礼央が立ち上がった。
「凜香、座ってろ。俺が運ぶ」
「ううん、大丈夫。あ、じゃあ礼央さんと矢島さんのお箸だけお願いします」
「ああ。ついでにこれも持って行く」
「ありがとうございます」
ニヤニヤと二人の様子を眺めている矢島の前に立ちふさがり、礼央はドンと大皿を置く。
「おお、美味しそう! 奥さまはお料理上手ですもんね。朝比奈さん、めっちゃ健康になりそう。いつも脂っこいものばかり食べてましたから」
するとみそ汁や焼き魚を運んできた凜香が頷く。
「本当に食生活も睡眠も心配でした。矢島さんは? 身体にいいもの食べて、ちゃんと寝られてますか?」
「うーん、食事はコンビニおにぎり。睡眠は仮眠室とデスクでのうたた寝ですね」
「えー、心配。私、矢島さんの分も作りますから、いつでも食べに来てくださいね」
「いいんですか!?」
「もちろんです」
勝ち誇ったような笑顔を向けてくる矢島を、礼央はギロリと睨みつけた。
「年に一回だけならな」
「はあ? もう、ヤキモチもここまできたらアッパレですね」
二人の会話を知ってか知らずか、忙しく動き回っていた凜香がようやく席に着く。
「それでは、どうぞ。召し上がってください」
「いただきます。と、その前に……。結ばれたお二人の愛に、かんぱーい!」
えっ、と頬を赤らめる凜香と、ビシッと空手チョップを入れる礼央。
矢島はそんな二人に、高々とグラスを掲げた。