この手に愛と真実を〜クールな検事の一途な想い〜
愛のささやき
「いやー、さすがは朝比奈さん。狙った相手は逃さない。すばやく、確実に!」
「おい。凛香を獲物みたいに言うな」
礼央は矢島をジロリと横目で睨む。
プロポーズから一カ月後。
婚姻届を提出したと職場に報告すると、矢島はすぐさま礼央にまとわりついてきた。
「一途ってことですよ。朝比奈さんはいつだって、ブレない。己の信念を貫く人です。凛香ちゃんへの愛情も、いつまでも真っすぐに捧げるでしょうね」
「……さり気なく人の妻をちゃん付けで呼ぶな」
「妻! おー、パンチ力あるなあ。凛香ちゃんも、今や人妻かあ」
「言っておくが、凛香に手を出したらどうなるか……」
「わかってますよ。そんな命知らずなことしませんって。それにしても朝比奈さん、ますます検事としても磨きがかかるでしょうね。凛香ちゃんの愛情たっぷりの美味しい食事を食べて、夜はベッドで癒やされて、うぐっ」
脇腹を押さえて矢島がうめく。
「随分と度胸があるな、矢島。骨の一本や二本、折れてもいいのか?」
「だ、だめです、嫌です、やめてください」
「なら、それ以上言うな」
「はい! 妄想して心の中に留めます」
礼央は冷たい視線を矢島に突き刺す。
「もう一度ボディーブローをお見舞いしてもいいが、凛香に免じて許してやる」
「優しいもんなあ、凛香ちゃん。うぐっ。結局、お見舞いするんじゃないですかー」
「うるさい!」
その時、ジャケットの内ポケットでプライベートのスマートフォンが震えた。
取り出してみると、凛香からのメッセージが届いている。
「なになにー、奥さんからですか?」
「見るんじゃない!」
矢島に背を向けて、そっとメッセージを確認した。
『お疲れ様です。夕食たくさん作るので、矢島さんも誘って帰ってきてくださいね』
するとすぐ後ろで、やった!と声がする。
「凛香ちゃんの手料理ー! 楽しみだな」
「おい、矢島! 勝手に覗きやがって、覚えてろ!」
「はーい。忘れずにお伺いしますね。では後ほどー」
手を振って軽やかに去っていく矢島に、礼央は地団駄を踏んだ。
「おい。凛香を獲物みたいに言うな」
礼央は矢島をジロリと横目で睨む。
プロポーズから一カ月後。
婚姻届を提出したと職場に報告すると、矢島はすぐさま礼央にまとわりついてきた。
「一途ってことですよ。朝比奈さんはいつだって、ブレない。己の信念を貫く人です。凛香ちゃんへの愛情も、いつまでも真っすぐに捧げるでしょうね」
「……さり気なく人の妻をちゃん付けで呼ぶな」
「妻! おー、パンチ力あるなあ。凛香ちゃんも、今や人妻かあ」
「言っておくが、凛香に手を出したらどうなるか……」
「わかってますよ。そんな命知らずなことしませんって。それにしても朝比奈さん、ますます検事としても磨きがかかるでしょうね。凛香ちゃんの愛情たっぷりの美味しい食事を食べて、夜はベッドで癒やされて、うぐっ」
脇腹を押さえて矢島がうめく。
「随分と度胸があるな、矢島。骨の一本や二本、折れてもいいのか?」
「だ、だめです、嫌です、やめてください」
「なら、それ以上言うな」
「はい! 妄想して心の中に留めます」
礼央は冷たい視線を矢島に突き刺す。
「もう一度ボディーブローをお見舞いしてもいいが、凛香に免じて許してやる」
「優しいもんなあ、凛香ちゃん。うぐっ。結局、お見舞いするんじゃないですかー」
「うるさい!」
その時、ジャケットの内ポケットでプライベートのスマートフォンが震えた。
取り出してみると、凛香からのメッセージが届いている。
「なになにー、奥さんからですか?」
「見るんじゃない!」
矢島に背を向けて、そっとメッセージを確認した。
『お疲れ様です。夕食たくさん作るので、矢島さんも誘って帰ってきてくださいね』
するとすぐ後ろで、やった!と声がする。
「凛香ちゃんの手料理ー! 楽しみだな」
「おい、矢島! 勝手に覗きやがって、覚えてろ!」
「はーい。忘れずにお伺いしますね。では後ほどー」
手を振って軽やかに去っていく矢島に、礼央は地団駄を踏んだ。