誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –

第5部 本気なんて、信じられない

「シャワー、浴びてもいいよ。」

隼人さんがふわりと柔らかなバスタオルを私に差し出す。

「ありがとう……」

でも、ふと胸の奥に引っかかるものがあって、私は視線をそらしたまま聞いた。

「あの……」

「ん? なに?」

「ここには……美羽さんも来たことあるんですか?」

彼は少し目を細めた。私の言葉に含まれた嫉妬に気づいて、そして、すぐに表情を和らげた。

「そういうの、気になるんだ。」

「……はい。」私は少し膨れて、頬をぷぅっと膨らませてみせた。

すると、隼人さんは私の頬にそっとキスをくれた。

「このマンションに連れてきたのは、紗英が初めてだよ。」

その一言に、胸がキュッと締めつけられるように熱くなった。

ああ、嘘でもいい、こんな言葉を聞きたかった。

「じゃあ、ちょっと行ってきます。」
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