誰にでも優しいくせに、私だけに本気なんてズルい– 遊び人エリートのくせに、溺愛が止まらない –

第6部 私を見つめるその瞳

土曜日の午前。

春の光が降りそそぐ公園には、親子連れの笑い声があふれていた。

ブランコがきぃこきぃこと揺れて、芝生の上を元気な子供たちが走り回っている。

「ははは。子供達、元気だね。」

私はベンチに腰かけて、無邪気に遊ぶ姿を目で追いながら言った。

隼人さんも私の隣に座ったけれど、どこか落ち着かない様子で視線を泳がせていた。

「子供、嫌い?」

何気なく聞いてみたつもりだった。

「好きだよ。」

ぽつりと返ってきたその言葉には、どこか寂しさがにじんでいた。

「……でも、うるさいのは苦手かもな。」

冗談めかして笑った隼人さんの横顔には、ほんのわずか影があった。

「そっか。でも……子供って、すごいよね。あんなに小さい体で、あれだけ感情をまっすぐ出せるんだもん。」

私がそう言うと、隼人さんはふっと笑った。
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