ラストランデヴー
1
遠くの空で赤い光が点滅している。
普段と何も変わらない風景だ。
窓の外には高層ビルがひしめき合い、そのビル群の隙間から紅白模様の鉄塔が顔を出していた。
毎夕、その頂上で赤い光が静かにウインクし始めるのだ。
いつもは気に留めることもないその光が、今日に限ってやけにまぶしく見えた。
窓から目をそらし、パソコンの画面と睨み合っても、頭の隅っこで赤い光が明滅し続けている気がして胸が騒ぐ。
これではいけない。
そう思って立ち上がると、隣の部署が目に入った。
私と同じ制服を着た若い女性が上司の席へ向かう。その足音を聞きつけたのか、彼女の上司が目を上げて柔らかく微笑んだ。
赤い光が私に警告する。早くしないからいけないのだ、と――。
私はそのままストンと椅子に腰を下ろした。そして決心する。
きちんと終わりにしよう。
最後にもう一度会って、話をして、この不確かな関係を解消しよう。
そう決めてしまうと気持ちが少しだけすっきりした。
それから退勤時間まで仕事に没頭する。
幸い私の机上には処理しなければならないデータが山になっていた。週明けはいつも忙しい。
会社から外に出ると携帯電話を取り出しメールを打ち込む。
覚悟を決めたせいか、私の指は迷いなく動いた。
普段と何も変わらない風景だ。
窓の外には高層ビルがひしめき合い、そのビル群の隙間から紅白模様の鉄塔が顔を出していた。
毎夕、その頂上で赤い光が静かにウインクし始めるのだ。
いつもは気に留めることもないその光が、今日に限ってやけにまぶしく見えた。
窓から目をそらし、パソコンの画面と睨み合っても、頭の隅っこで赤い光が明滅し続けている気がして胸が騒ぐ。
これではいけない。
そう思って立ち上がると、隣の部署が目に入った。
私と同じ制服を着た若い女性が上司の席へ向かう。その足音を聞きつけたのか、彼女の上司が目を上げて柔らかく微笑んだ。
赤い光が私に警告する。早くしないからいけないのだ、と――。
私はそのままストンと椅子に腰を下ろした。そして決心する。
きちんと終わりにしよう。
最後にもう一度会って、話をして、この不確かな関係を解消しよう。
そう決めてしまうと気持ちが少しだけすっきりした。
それから退勤時間まで仕事に没頭する。
幸い私の机上には処理しなければならないデータが山になっていた。週明けはいつも忙しい。
会社から外に出ると携帯電話を取り出しメールを打ち込む。
覚悟を決めたせいか、私の指は迷いなく動いた。
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